櫻井稔文『絶望の犯島』①(双葉社)
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「漫画アクション」連載の、かなりヘンなコメディ。ヤクザの親分の手下のくせして、親分の奥さんと娘とやってしまって、怒り狂った親分によってセクシーギャルに手術で改造されてしまった主人公が、性犯罪者の男ども百人がブリーフ姿で飢えて待っている無人島(親分が彼を殺すためにわざわざ買った)に放り出されるという、むちゃくちゃな設定。何というか、この過剰さ、暴走ぶり、戦闘的なくだらなさ、さらに途中でオヤジがらみのトラウマの話が出てきたり、奇妙に面白い。そこはかとなく、70年代のアナーキーなどうでもよさを思い出させ、とくに疾走していた山上たつひこのテイストを感じさせる。絵は、同じ頃に僕の好みだった今村直道の、山上ギャグに影響を受けたあとの絵に少し似ている。現時点では、正直今後どうなるのか、まだ判断つきかねるが、ちょっと期待をしたくなる、異様な迫力の作品。
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