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夏目房之介の「で?」

映画『ライフ オブ パイ』

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http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/
バリの帰りに機中で観た映画『ライフ オブ パイ』がレンタルで出たので、さっそく借りて観た。機中では、英語に中国語クレジットというワケわからん状態だったので、大体のところしかわからなかったのだが、それでも面白かったので、ぜひちゃんと意味を理解して観たかったのである。漂流物だが、かなりファンタジックな大人向け寓話という感じで、映画のほとんどがトラと少年の漂流話。このトラや海などがほとんどCGなんだそうで、たしかに「作られた感」はあるが、映像がなかなか素晴らしい。原作があるらしいが、主人公の少年がヒンドゥー、キリスト教、イスラム教と、3大宗教を同時に信じるというところがすでに、けっこう僕には面白かった。
トラの名前は、ちょっとした手違いで本当は人間の名である「リチャード・パーカー」なのだが、映画の中で少年が最後までフルネームで呼んでいるのがおかしい。で、このリチャード・パーカーとは、19世紀前半にエドガー・アラン・ポーが長編の漂流物語の中で、漂流中にほかの人間に食べられてしまう少年の名前なのだとか。しかも、それから数十年後に起きた実際の漂流で、同じ名前の人がやはり食料になってしまったのだとか。ふーむ。
ところで、この映画の監督はアン・リー。『推手』『グリーン・デスティニー』の監督なんですね。

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