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夏目房之介の「で?」

もりもと崇『大江戸綺人譚 ~のっぺら女房~』

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2006年に小池書院から出た短編集だが、読み直してあまりの面白さに書いてしまう。

江戸期の吉原、死んだフリの芸人、のっぺら坊の女房に好みの顔描いて抱く男、変態オヤジに見受けされそうな太夫の忍ぶ恋、大酒のみ同士の大バカ合戦(事実あって江戸初期に刊本ではやったらしい)など、まことにスケベでどうしようもない連中の、楽しく、業のきわみのような噺が続く。絵は、うまいとはいえないが、匂いたつような艶がある。大盃での飲みあいは、つい先日小さんの「試し酒」を観て、その飲みっぷりに感心したばかりなので、余計面白い。

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