DVD『ザ・ヒストリー・オブ・アメリカン・コミックス』
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少し前に『アメリカンコミックス スーパーヒーロー クロニクル』を紹介したが、ほんとはこっちをメインで購入予定だった。こちらはスーパーヒーローに割いた部分は少なく、戦中戦後の展開を追ったあと、60年代以降のアンダーグラウンドやオルタナティブに多くを割いている。ウィル・アイズナーやロバート・クラム、ジャック・カーヴィ、フランク・ミラー、アート・スピーゲルマンなどが登場する。1989年製作(じつは、昭和天皇と美空ひばりと手塚治虫が亡くなった年だったりする)なので、まだみんな若く、クラムの出るあたりは、じつに怪しく楽しい雰囲気(笑)。
50年代のアメコミ受難期の公聴会の様子や、バッシング側の主張も昔の映像で登場して、時代の雰囲気を感じるにはいい作品だろう。ただ、時々翻訳が出なくなったり、英語は早いは、字幕も早いわで、こういうのはざっと一度観ただけだと全部は情報を摂取できないなあ。
特典には、アメコミのいくつかの作品画像集や、なぜかマリファナやツイストについての映画が入ってたりする。冊子には小野耕生さんが文章を寄せている(これがまた、出てきている人物のほとんどに、いつ会ったかという話だったり)。現代的なコミックの歴史については、こちらのほうが充実している。とくに女性作家にも注目しているところは貴重。結局、アメリカのコミックスといえど、日本のマンガ同様に膨大広大で、こうしたドキュメンタリーを作るにしても、その一部をたどるしかない、ということなのだろう。
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