ビジネスで使うTwitterのポイント~むやみなフォロワー数増加は意味がない?
1億人以上の登録アカウント数があり、1ヶ月に20億近いつぶやきのあるTwitter。
その圧倒的な数字故に、どうしても「数」というものが議題に上がります。
そのため「フォロアー数を増加させる方法」といった情報商材やノウハウセミナー、あるいはツールが後を絶ちませんし、それを助長するようなツールもたくさんありますし、ありました。
自然ではない方法でフォロアーを増やすことは、Twitter運営側も是とはしておらず、システム的に様々な処置を行っていますが、どうにもスパムと同様いたちごっこです。
以前に別のブログで書きましたが、例えば、フォロワーの数字の上昇率がおかしいユーザが増えています。1日で6000人増加など。
▼いずれスパムメール状態に?ツイッターで不自然なユーザが増加している予感 - 7korobi8oki.com
しかし、実際は単純にフォロアー数を増やしただけで効果があるわけではありません。
もちろん多いに越したことはありませんが、むやみにフォロアーを増やしてもあまり意味はありません。たくさんのタイムラインに表示されるようになったとしてもその数字に見合う変化はありません。
むしろ、あなたのアプローチしたい属性を持ったユーザを、数は少なくても良いので厳選して増やしていくことをおすすめします。
Twitter上でのブロードキャストはあまり意味がない
「どんな人でも良いからたくさんフォローしてもらって、1万人10万人の人のタイムラインに自分のツイートが載れば、そのうちの何割かは商品を購入してくれるはずだ」
というやり方は、少なくともツイッター上ではあまり効率の良い手段とは言えません。
なぜなら、情報があふれているネット上では、ユーザは「色々な情報を取りに行こう」というよりは「入ってくる情報を取捨選択していこう」という方向で情報に目を向けるからです。TVのような受動的媒体とは違います。
どこの誰かも分からない人のツイートは、瞬時にフィルタリングされて読まれもしない可能性が高いです。
属性も絞られていなければなおさら
属性の絞られていないユーザに対して、ツイートという疑似広告を打った所で反応はきわめて薄い物になります。
実際たくさんのユーザを短期的に集めるには「気軽にフォローしてくれるないし自動フォロー返しを設定しているユーザ」を狙い撃ちすることが最も効率がよく、また様々なフォロワー増加ツールで狙っているのはこの層です。ただ、こういったツールも、ツイートの内容などを見て属性をしぼりこんで…などは、せいぜいキーワード検索レベルでしか行いません(私の知る限りでは)
私も以前BOTを運用しはじめの時に失敗しましたが、キーワードでの絞り込みは精度が悪いです。
たまたまそのキーワードをつぶやいただけなのに、BOTがそれに反応してフォローしてしまい、相手を驚かせてしまいました。
数百万のフォロワーを持つアカウントの影響力は必ずしも大きくない
ここで、興味深い記事がありましたのでご紹介します。
▼Popular Twitter Users Have Little Influence | Futurelab
これは、「フォロアー数の多いユーザとそのユーザのつぶやきの影響力が、どれくらい相関があるか」について調べた物です。
結論は、以下のフレーズに全て含まれているのではないでしょうか。
Building influence isn’t a matter of accruing followers and posting lots of tweets. You need to stay aware of the trending topics, listen to what people are saying, and respond in kind. The good news is: you don’t have to pay a million bucks to Lady Gaga to post a tweet about your product. There are more productive ways to build influence, and it begins with understanding the contexts of conversations around whatever it is your trying to sell.
フォロアーを増やしたりたくさんつぶやいても影響力は作り出せない。やるべきことはトレンドトピックを追いかけ、皆が何を言っているかを知り、うまくコメントをしていくことだ。そしてそれは自分の製品に関係の話題についてはやる必要はない(LadayGAGAの話題など)、自分の製品に関わる物に関して行えばいい
ざっくりとした意訳で恐縮です。
この結論にはAshton Kutcher, Justin Bieber, and Stephen Fry,のような数百万のフォロワーを持つアカウントのツイートがそれほど大きな影響力(たくさんReTweetされているなど)が無かったという下地調査があります。 その下地調査では「その分野のエキスパート」の意見が最も影響力があった、とのことです。
ではどうやってTwitter上で影響力を作っていくか
このような調査を踏まえると以下の手順が良いのではないでしょうか。
- Twitter上でやりたいことを決める。何かのサービスを売りたいのか、個人のブランディングをしたいのか、など。
- その目的を達成するためには、どのような人々に一目置いてもらいたいかを考える。
- その人々を実際にTwitter上で探す。探すにはキーワードツールでアタリをつけたキーワードでTwitter検索をかけるか、ないしフォロアーやフォローをたどっていく。
- HootSuitesなどの、KWで絞り込んだタイムラインを表示できるクライアントを使って、まずは全体としてどんな会話がなされているのか、そしてハブとなっているような人物がだれなのかを把握する。
- ある程度把握できた時点で、まずは売り込むのはではなく、その分野に詳しい人物として、少しづつ返信やRTをししていき、また、つぶやきも行っていく。1日どれくらい行うかはその市場のつぶやきの頻度をみながら調整する。
- 並行してフォローも行い、フォローしてくれた人には自動返信でも良いのでダイレクトメールで返信をする。ダイレクトメールを送ると、フォロー解除される確率がかなり下がる(経験値)
- 周りに溶け込みながら、プロフィール欄や売り込み口調でないつぶやきで、徐々に濃いユーザを送客していく。
これは、なにやら特別な作業のように思えますが、リアルの世界での人付き合いと同じです。
異業種交流会や何かのパーティで、いきなり仕事の話をまくしたてるでしょうか。
その前に色々なクッションを置いて心を開いて、最後にさりげなく、こういうことをやっていますのでよろしければという形ですよね。
それと同様です。
この後は
先ほどの手順を、他にも製品需要がありそうなキーワードでも同じことを繰り返していきます。
その際、つぶやきの内容がかなり変わるようでしたら、別のアカウントを取った方が良いです。一緒にやったところで特にシナジーが見込めないなという場合は別アカウントの方が良いです。
フォロアーを集めるためにまた時間がかかりますが、色々な製品を一つのアカウントで扱うのは、既存ユーザ離れを誘発する恐れがあります。
アカウントが増えてきたら、本社アカウントを一つ作って、そこに全ての別アカウントのつぶやきを全てまとめたハブアカウントがあると便利です。
Twitter用のアプリケーションの中には複数アカウントへの同時投稿を行うことができますので、そちらを活用することをお勧めします(例えばHootSuite)。
終わりに
Twitterはデリケートな媒体です。一言が原因でフォロアーが大きく減少してしまったり、何の気無しに書いたことでいわゆる「炎上」してしまうこともあります。
企業名を出して行う場合、一度信用を無くすと回復にとても時間がかかりますので、くれぐれも慎重に、担当者が把握できる範囲での運用を強くおすすめ致します。
明らかにおかしなフォロワー数を持っているユーザは信用できない、というのが少なくとも私としては正直な気持ちです。
そんな取扱注意のメディアですが、きちんと使っていけば集客効果は大きいので、ぜひとも特に情報発信手段があまり多くない中小零細企業の方、個人事業主の方には活用して頂きたいと思います。