Amazon Artist Central は中小アーティストの救世主となるか?そしてその使い方は。
Amazonが、ミュージックストアに新しく機能を追加しました。
▼Amazonでアーティスト自身が情報発信 動画やTwitterのつぶやき掲載 - ITmedia News
これを使うことにより各アーティストは、今までのような、商品単独ページだけではなく、「Artist Central」という、アーティストごとのトップページを作成することができるようになります。
まだサービスインしたばかりなので、不透明なところも多いのですが、これは大物レーベル所属のアーティストはもちろんですが、むしろ、小さなレーベルやインディーズ系、そういった販促力の弱いアーティストにとって、救世主となるのではないかと感じています。
それはなぜか?ということを、Amazon Artist Central(以下AACL)の機能などをご紹介しながら、お話しできればと思います。
具体的に何ができるか
AACLにおいて、具体的にどんな機能が使えるかですが、まだきちんと把握できておりません。
ArtistCentralのヘルプページには、まだ簡単にしか掲載されておらず、また、私自身アーティストの関係者ではないので…(^-^;
この辺りはAmazonさんに問い合わせをするなどして、随時更新したいと思っています。
ただ、サービスインと同時に稼働しはじめたアーティストのページを見ると、
- 動画コンテンツの公開(ライブ映像や本人インタビューなど)
- ストリーミング楽曲の公開
- Twitterのつぶやき掲載
- アンケート機能
- バイオグラフィーなどのテキスト情報の掲載
などができるようです。
Amazon側のヘルプとしては
アーティストセントラルを使用すれば、バイオグラフィーや写真、twitterリンク、ビデオ、楽曲のストリーミングをフルトラックでアップロードすることができます。
https://artistcentral.amazon.co.jp/faq
とのことです。
具体的には例えば以下のアーティストページをご覧下さい。
他にもたくさんありますが、まだ充実していないところが多いですね。
そして、今回Twitterを搦めてということで、広瀬香美さんが一番に始めたこととなっています。実際Twitterを出しているのはまだ広瀬香美さんだけのようでした。
Amazonというプラットフォームを使える意義
AACLですが、小さなレーベルやインディーズ系のアーティストが、Amazon上に情報発信スペースを持てるという点に、とても注目しています。
「WEBサイトさえ作れば情報発信できるじゃないか、Amazonがなくとも今は誰でも」という声もあるかと思いますが、「Amazon上にある」ということは非常に重要です。
なぜなら、実際に使っている消費者の声を聞くと、消費者はアーティストのWEBサイトとAmazonを、全く違う目的で見ていると思われるからです。
その違いを簡単に表にするとこうなります。
利用者が想定しているサイトの目的が異なるのではないか。そのため「自分のWEBサイトがあるからAmazonに載せることができるようになっても、意味がない、ということはないのではないか、ということです。
ものすごく簡単にかち割ってしまえば「アーティストサイト」はマーケティングの場、「Amazon」はセールスの場(実際にはAmazon自体もかなりマーケティングの場になっていますが)
実際、大物アーティストの公式サイトでも、ディスコグラフィーは載せているけれど、実際の販売はAmazonであったり他の販売サイトにリンクで飛ばしていることも多いです。それは、単純にその方が売れる可能性が高いし、Amazon内でのランキングも上がるので販促効果も出るからだと推測されます。そうでなければ自社で完結させるのが自然です
アーティストサイトが充実していようといまいと、Amazon上で情報を発信できるとことの有用性は変わりません。
このArtist Centralはその意味で、知名度や信頼性の面でマイナス点をつけられている、例えばインディーズにとって、かなり有用ではないかと思います。なぜなら、「Amazonに載っている」ということで一定の信頼感が得られるからです。
一般人の視点では「Amazonで売ってるの?すごーい!」なんです。
(このサービスの発展次第でこの評価は変わるかもしれませんが…)
Artist Centralの利用資格
では、Artist Centralはいったいどんな人が使えるのか、大型レーベル所属アーティストのみなのか、そうじゃないのか。
こちらは、ヘルプを見ると
Q:「まだアーティストストアのページがないのですが、どうしたら良いでしょう? 」
A:「もしamazonでCDが販売されていればアーティストセントラルにサインアップしていただくことで、アーティストストアも作成できます」
https://artistcentral.amazon.co.jp/faq
つまり、AmazonでCDが売られていれば、OKということになります。
AmazonでCDを売るには?
AmazonでCDを売るのは実はそんなに難しいことではありません。Amazonには「e託販売サービス」というものがあって、これを使えばAmazonでCDを扱ってもらうことができます。
具体的には以下のような条件を満たせば、Amazon上で検索して販売ページが出て、発送まで行ってもらえます。
▼Amazon.co.jp ヘルプ: Amazon e託販売サービス
Amazon e託販売サービスは、出版社・メーカー様の商品をAmazonの配送センターに委託在庫。Amazon.co.jp 上 での在庫状況の表示を「在庫あり」とし、商品のカスタマーへの配送およびサポートを提供するサービスです。
- 委託する商品に、ISBNバーコードもしくはJANバーコードが印刷されていること (バーコードシール貼付も可)
- 委託する商品の販売権を有していること
- Amazon.co.jpにあるストア(書籍、CD、DVDなど)に該当する商品である
さらに、CDを登録する場合は以下も必要です。
▼Amazon.co.jp ヘルプ: Amazon e託販売サービス(「本プログラム」)に関する説明及び規則より。
- (a) タイトル及びアーティスト名がCDの背ラベル部分(CDパッケージの幅の細い部分)に印刷されており判読可能でなければなりません。
- (b)CDがプラスチックのジュエルケース等の保護ケースに入っており、シュリンクラップ包装されていなければなりません。
- (c) スキャン可能なバーコード形式のJAN/UPC/EANがパッケージの外側に表示されており、JAN/UPC/EANバーコードが外装の上から明確に認識可能でなければなりません。(JAN/UPC/EANの詳しい説明はこちら、バーコード の詳しい説明はこちらをご覧下さい。)
- (d) バーコードはCDに表示されたJAN/UPC/EANと一致しなければなりません
最も手間がかかるのは「JANコード」いわゆるバーコードの取得です。
これはどこで取るかというと、財団法人流通システム開発センターです。取得費用は、売上高によりますが、年商10億円未満でしたら、10,500円です。
詳しい手続きは以下をご覧下さい。
▼財団法人 流通システム開発センター コード登録:
JANコード表示までの作業手順 ~登録申請から付番貸与まで~
JANコードを取ってそれを印刷したCDができれば、後は難しいことはありません。
Amazon e託販売サービスを使って販売していてもAmazon Artist Centralを使えるか?
これについては、Amazonに問い合わせ中です。ヘルプに特段その記載もなかったので、問題ないとみています。
一応できるという前提で進めますが、違った場合ご容赦下さい。
実際使えるとなれば、ぜひ大手以外のたくさんのアーティストにフル活用してもらいたいです。
使えるとした場合の使い方
使い方はたくさん考えられます。アーティストは、曲≒アーティスト自身なので、言ってみれば自分自身が商品なので、それを促進するような使い方が効果的です。
その面では、士業コンサルタントとWEB活用の方向性は似ています。
例えば…
- CD収録曲を作っていくプロセスを映像でまとめてドキュメンタリー形式にし、配信。音楽を苦しみながら生み出しているアーティストの姿を見せることで、消費者との距離感を近づける。
- Twitterのツイットを載せ、フォローしてもらうことで、まだそれほど興味がないけどチェックしておくか、という人へのチャンネルを維持しておく。
- TwitterのツイットやAACL上のコンテンツで、曲以外の「アーティストの考え方」や「人となり」を発信していく。
- Amazonのレビューに対して、きちんと答えを返していくことで、レプテーションマネージメントができる(普通にレビュー上でやりとりをしても、本人だと分からないですし、そもそもあそこは会話をする場所ではないので不適当。だからといってAmazon以外でやるのは転載になってしまうし、おそらく炎上しやすい)
- AmazonArtistCentralを、「対消費者用プレスキット」として成立できるようにする。口コミ促進。ユーザエクスペリエンスがある程度浸透しているサイトなので、消費者のストレスが減る(一般にアーティストサイトはデザイン重視で使いづらいところが多いこともあり)
などが、パッと浮かびます。
Ustreamも連携できると最高ですね。ライブ生中継が誰でもできるようになります。Amazonもそこをうまくプロモートすれば、中小アーティストのポータルが作れそうな気もするのですが、どうでしょうか。
その他にもたくさん使い方は見いだせると思います。
現状で気になる部分
サービスイン直後なので、まだ色々とブラッシュアップしていくのかもしれませんが、Amazonが積極的にこれを活用していくという前提で、気になる部分があります。
それは、一言でいえば「AmazonArtistCentralへの行き方が分かりづらい」につきます。今は特集があるからいいのですが、たどり着く方法が非常に難しい。
改善して頂きたい点としましては
- 最も使われているであろう「CD名での検索」をした際に、AACLへのリンクが一切出ない。これで出なければ、ほとんど使われないのでは。認知されないのでは。
- アーティスト名で検索すると、検索結果の中にまざってAACLへのリンクが出てくる。本来、検索結果の最上部に、上位存在として出るべきでは。
- 個々のCDのページからの誘導が一切無い。ここでも右上辺りに、かなり誘目性の高いバナーなどで誘導すべきでは。
があります。
ぜひここからも見つけられるようにして、認知度を上げて頂きたいです。
…
とは言えサービスイン直後で、これからに期待するサービスです。
個人的にはとても面白い、いろいろな可能性を秘めたサービスだと思いますので、期待してウォッチしていきたいと思います。