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【書評】『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』:ウチとソト

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著者: 鈴木貴博
朝日新聞出版 / 単行本 / 208ページ / 2011-06-07
ISBN/EAN: 9784023309463

子供時代に戻って、何か一つ自分にアドバイス出来るとしたら、かなりの確率で「ガンダムを見とけよ」とアドバイスすると思う。なぜ見なかったのか記憶が定かではないが、ガンダムを見ていなかったせいで、話題についていけなかったという経験を、これまでに何度となく経験している。それがプライベートな場だけならまだしも、時折り、打ち合わせの場などでも出てくる。子供のころに、公文式などやっている場合ではなかったのだ。

一方で会社に入ってしばらく経ってから、『ONE PIECE』なるものの存在を知る。こちらは二巻か三巻くらいまでは読んだ記憶があるのだが、ゴムゴムの実を食べたところあたりで挫折。この漫画を読むには、あまりにも心が汚れてしまったらしい。

そんな自分にとって、本書の登場は福音であった。双方の漫画のことのみならず、その読者層の世代としての特徴も書かれている。ガンダム世代にも、ワンピース世代にも、はたまた狭間の世代にとっても、膝を打つような記述が多いのではないだろうか。

◆本書の目次
第一章 ワンピース世代論、ガンダム世代論
第二章 『ONE PIECE』とワンピース世代
第三章 ガンダム世代にとってなぜワンピース世代の若者は理解しにくいのか
第四章 『機動戦士ガンダム』とガンダム世代
第五章 日本社会の矛盾とガンダム世代の苦悩
第六章 ワンピース世代の反乱

多くの人にとって13~19歳のティーンエージの時に見ていたアニメが、その後の行動規範を決定づけるという。自分の世代で言うと、キン肉マンからスラムダンクあたりまでだろうか。日本人の思想は、ある意味において漫画によって形成されているという側面がある。年齢で分ける危うさはあるが、会社の中を見回しても、多くの人は概ね下記の二つのタイプに分類されるとみて間違いないだろう。

◆ガンダム世代の特徴
1960~69年生まれ
キーワードは「組織への従属」「人類のニュータイプへの進化へのあこがれ」。「個人の感情は押し殺してでも組織に従うべきだ」という考え方。タテ社会という枠組みの中で生きているのが特徴。

◆ワンピース世代の特徴
1978~88年生まれ
キーワードは自由と仲間という価値観。「自分で正しいと思うことを判断する」という行動規範。ヨコ社会という枠組みの中で生きているのが特徴。

本書においては、この二つの世代がなぜ分かりあえないのかを分析しながら、大胆にも日本の未来予測へと話を展開している。しかし、注目したいのはその差異より、共通点にある。双方の世代が、その方向がタテであれヨコであれ、ムラ社会というものを強く意識しており、「ウチ」と「ソト」を明確に切り分けているということなのである。

このような問題は、いつの時代にもあったことなのだろうと思う。経済が右肩あがりの時代には水面下におさまっていたものが、下降局面においては隠しきれずに表面化してしまうということなのだ。この状況を打開するには、「ウチ」と「ソト」を分けない世代、すなわちソーシャルネイティブの台頭を待つしかないのだろうか。

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