10年変われなかった人が、その日から変わる方法
「自分もそろそろ変わらないと、と思っているんだよね」
10年ぶりにお会いした人が、以前と同じことをしていて、言っている内容も同じだったことがあります。
実は、その方は「変わろう」とホンネでは思っていないのです。
変わろうとしないのは、現在いる場所がコンフォートゾーンだからです。
コンフォートゾーンとは、不安がなく、落ち着いた気持ちでいられる場所のこと。
なんでこうなるんでしょうか?
たとえば太っている人が、ダイエットを一念発起したとします。
食べるのを節制したり、運動すれば、ダイエット開始ですよね。
しかし「でも、美味しいものは食べるだけ食べたいし...」という状態から抜けられないと、ダイエットはできません。
コンフォートゾーンは、この美味しいものを食べたいだけ食べている状態です。
そしてコンフォートゾーンを維持しようとして安定する働きを、「ホメオスタシス」といいます。
ホメオスタシスは人間が生まれつき持っているもの。なかなかなくせません。
簡単にできるなら、ダイエットはすぐに成功します。
しかし、誰でも簡単にホメオスタシスから抜け出す方法があります。
それは、危機(crisis)。
肥満が原因で医者から「このままだと5年後に死ぬよ」と言われたら、その日からダイエットを始めますよね。
仕事でも同じです。自分のクビがかかっていれば、ホメオスタシスなんて放り出して、人はすぐに変われるのです。
冒頭の人はなんとなく問題意識は感じていたけれど、危機がなかったので「まだ大丈夫だ」と考えて10年経ってしまったのです。
危機に遭遇したときこそ、人が本当に変われるときなのです。
【参考文献】
彼末一之『ホメオスタシスを通して部分と全体を知る』早稲田大学スポーツ科学学術院,63巻1号(2014年)