やりたいことが見つかったらおめでとう 趣味の時間はない
人生でやりたいことが見つかることはとても幸せなことだと思います。
私が以前お仕事を共にさせていただいていた指揮者のY先生は、合唱団の指揮をするとき新しい団員さんに必ず聞く質問がありました。
「あなたはなぜここに来たのですか?」
ある人が「私は将来ミュージカルがやりたいと思っています。まずは歌を歌いたいので来ました」と言ったのです。
そのとき、先生は、
「それなら、すぐにミュージカルをやればいい。ミュージカルも大変だよ。こんなところで趣味で歌っている時間はないと思う。人生、やりたいことがあるのは素晴らしいことだよ。若いときだからこそ出来ることがある。プロになりたいなら一つのことに集中しなさい。」
と言い、その場で帰らせたことがありました。
合唱団としては、一緒に歌ってもらいたかったのだと思います。
しかし、先生は一声も歌わないうちに、最初の一瞬で帰らせた。
私は、このときの先生の言葉をいまだに覚えています。
それは私がピアノの生徒をみるときにもよく考えさせられることです。
最近のお母さん方はとても賢いと思います。
「この子才能ありますか?」
「ピアノでは食べていけないからやめさせます。」
きちんと「向いているか」どうか聞いてこられますし、音楽でやっていくのは大変なことは情報収集なさってわかっておられます。
「才能があるか」ということに関しては、子供のうちは判断が難しいかもしれません。将来を心配するのも親心ですが、本人が続けたいなら続けさせてもよいのではないかと思います。
やりたいことがあるのは幸せなことだからです。
「生きている限りは行動あるのみ。人生やったもん勝ちなんだよ。」
とY先生は口癖のようにおっしゃっていました。
だから、もし本人が音楽のほかにやりたいことが見つかったというなら、本当にそれは「おめでとう」なのです。
やりたいことがあるなら、引き止めません。そこで精一杯頑張って欲しいと思います。
親や先生が決めるのではなく、自分の意志で決めたことを貫くことです。
それもまた一つの成長の支援なのかな、と最近思えてきました。