未開封のみ返品を受け付ける会社 vs. 開封済でも返品を受け付ける会社。どっちが儲かる?
数年前のこと。
アマゾンでパソコン関連部品を購入した際に、私のミスでまちがった商品を購入してしまいました。
普段は注文ミスは滅多にしないのですが、ダメ元でアマゾンに返品依頼をしてみました。
既に商品は開封済でしたが、快く返品を受け付けてくれました。電話での応対も極めて丁寧でした。
「アマゾンで買うと、安心だな。しかも安いし」と実感しました。
それ以来、私はアマゾンで購入することが多くなりました。その後、返品することはほとんどありませんでした。
最近、いつものようにアマゾンでカメラのアクセサリーを購入しました。
その後、アマゾンからの購入お知らせメールを見て気がついたのですが、この商品はアマゾンが仲介していて、実際には他の販社が販売していました。画面には書いてあったのですが、気がつかなかったのですね。
数日後、商品が届きました。
開封したところ、間違った商品を注文していました。よく見たら、サイトにもサポート機種が記載されています。私の確認ミスでした。
ダメ元でアマゾン上で返品処理をしました。アマゾンからは「販社に確認する」との回答。翌日、販社から回答がありました。「未開封なら返品可能、開封済なら返品不可」との回答でした。開封済だったので返品不可でした。
元は私の注文ミスです。お手間をかけたことをお詫びするメールをこの販社にお送りしました。
そして、改めて考えてみました。
この販社の方針は真っ当です。
未開封品は再販可能ですが、開封済商品は販売できません。会社として個別取引で損は出したくないですし、そもそも注文を間違えたのは注文主(=今回は私)の責任です。
開封済商品を受け付けないのは、正しいご判断です。
一方でアマゾンは開封済でも返品を受け付けています。(その後は返品していないので確認していませんが、少なくとも数年前はそうでした)
一見、アマゾン側は個別取引では損をします。
しかしよく考えてみると、実はアマゾンは損をしていないのです。
ECサイトでは処理がほぼ自動化されており、アマゾンが顧客とやりとりをする機会はほとんどありません。だからそのきわめて少ない機会を最大限活用し、たとえ個別取引で損をしてでも、「顧客に最大限の満足をしてもらおう」とアマゾンは考えているようです。
「真実の瞬間」というものですね。
加えて他社では同じことはやっていないので、その後、顧客が定着する可能性が高いのです。
アマゾンでは幅広い商品を売っているので、顧客がいつもアマゾンで色々な商品を買うようになると、その後、アマゾンのその顧客からの売上(=生涯価値)は上がります。
たとえ返品処理による個別取引で損をしたとしても、それは顧客を繋ぎ止めるための投資。長期的には十分に回収できます。(但し、クレーマーのようなケースはここでは除外して考えています)
私も気がついてみたら、ここ数年間のアマゾンでの購買はかなりの金額になっています。
「損して得取れ」という古い日本のことわざを、アマゾンは考え抜いて実践しています。
改めて、アマゾンが周到な顧客戦略を持っていることを実感しました。