セブンカフェを生み出した、黄金のチームワーク
群雄割拠のコーヒー業界の中で、「美味しい」という評価を確立したセブンカフェは、セブンならではのチームMD(マーチャンダイジング)により生み出されました。
「チームMD」とは、セブンがプロジェクトリーダーとなり、原料・製造・資材・機材などを提供するメーカーと共同で商品を開発する仕組みです。
店頭で受け取る一杯のセブンカフェには、次のような各社の協力がありました。
■コーヒーマシン...富士電機
一杯ずつ豆を挽いて入れられる、セブンが求めるようなコンパクトなマシンは存在しませんでした。そこで富士電機に協力を仰ぎ、豆を挽くグラインダー、挽いた豆を空気を送り込み湯の中で攪拌する仕組み、出がらしを入れるバケツ、店舗オーナーの操作しやすさなどを徹底吟味。1年を費やして開発しました。
■コーヒー豆調達→三井物産と丸紅、コーヒー豆焙煎→AGFとUCC上島珈琲
各国の最高グレードに限定。100%アラビカ種で、生豆の精製方法は焙煎時に雑味が残らないウォッシュド方式に。さらに4種類のハイグレード豆を使用しそれぞれの特徴を引き出すダブル焙煎を採用。モニター調査を繰り返し、あらゆる場面にあう味を探りました。さらに全国16,000店舗に供給するために、安定して入手できることも重視しました。
コーヒー豆の調達は三井物産。のちに売上拡大に伴い丸紅も参加。
コーヒー豆焙煎は、現在は東日本はAGF、西日本はUCC上島珈琲が担当しています。
■ブランディング...佐藤可士和さん
黒と白で統一された様々なデザイン、コーヒーマシンのインターフェイス、など、カップ、ふた、マドラー、ストロー、マシンなどのアートディレクションを担当。
モノとしてコーヒーを売るだけではなく、カフェとして上質な時間を提供したいとの思いから、「セブンカフェ」という名前も生まれました。
■氷...小久保製氷冷蔵
意外に見逃し勝ちなのがアイスコーヒーに使われる氷。溶けにくくて雑味が少ない氷を追求、24時間かけて不純物が少ない透明な水を製造しています。昨年の夏には売れすぎて氷が品薄になったそうです
他にも、紙コップ製作は東罐興業が担当しています。
このように各業界の第一人者が結集していますが、ただ結集しただけでは、いい商品は生まれません。
昨日のブログでもご紹介したように、徹底的な仮説検証で蓄積した、数字で裏付けられた膨大な顧客の知見があるからこそ、この黄金のチームワークも活きてくるわけです。
セブンイレブンで購入する際、店員が顧客の年齢を推定し、精算の前にPOSで性別・年齢別キーボードで入力する仕組みになっているのはご存じでしょうか?
一つ一つは簡単で単純なデータです。しかし、このデータに、商品名・時間帯・購入場所などのデータが組み合わさって、日本全国規模のデータになると、日本の消費者動向そのものがわかる膨大な知見が得られるのです。
現在「ビックデータ」と言われている取り組みを、既にセブンは20世紀から始めていたのです。
このような取り組みがあって、セブンカフェは生まれたわけですね。