全米の全メタン排出源の21.5%を占める「家畜のげっぷ」
ナショナル・ジオグラフィック2014.01号の記事「ごみは宝の山」を読んでいたら、こんな図が出てきました。(円グラフのデータを引用)
米国のメタン排出源
・天然ガス・石油産業 37.5%
・下水処理 2%
・その他 5%
・堆肥 8%
・石炭産業 11%
・埋め立て地(ごみ等) 16%
・家畜のげっぷなど 21.5%
(端数処理のため合計は100%になりません)
記事では、このうち16%を占める埋め立て地から生じるメタンガスをエネルギーに変える試みを紹介しています。
実際、既に米国では約150億キロワット時の電力(100万世帯の年間消費電力に相当)を、この方法でまかなっているとのこと。
私が驚いたのは、「家畜のげっぷ等」がこれを上回る排出量であること。なんと全体の21.5%です。
こう思っていたら、「世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え」でこんな質問がありました。本書は、子ども達の素朴な100の質問に世界の第一人者が真面目に応えるという本です。
「ウシが一年間おならをがまんして、大きいのを一発したら、宇宙まで飛んでいける?」
この質問に、サイエンスライターのメアリー・ローチさんが、真面目に答えています。
本書p.242-244からサマリーすると、
・ウシはおならもげっぷもしない。音がして敵に場所がばれてしまうから。そこでメタンガスをうまく肺にまわして、息と一緒に静かに吐き出す。
・ウシが一年間に息と一緒に吐き出すメタンガスは、一頭で85Kg
・メタンは可燃性。圧力タンクに貯めて勇敢な宇宙飛行ウシにベルト固定式ロケットをつければ、その燃料に使える
・ロケット科学者に頼んで計算してもらった。85Kgのメタンガスがあれば、33秒間にわたって900Kg重の推進力を出せる。これだけあれば空気力学的に抵抗のない流線型をした体重680Kgのウシを高度5Kmまで打ち上げられる。
・宇宙が始まるのは高度32Kmなので答えは「実現できない」ということになるけど、このロケット科学者いわく「このメタンエンジンはホットだ!」
たしかに宇宙には行けないかもしれませんが、家畜から出るメタンガスのエネルギー利用は大いに可能性がありそうです。
そう思って検索してみたところ、既に試みがされているようです。日本でも、
■日立パワーソリューションズ 鶏糞メタン発酵発電システム
■APEC 環境技術交流バーチャルセンター 家畜糞尿のメタン発酵処理と消化液の利活用
子どもたちの素朴な疑問は、意外と鋭いなぁ、と思った次第です。