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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

みずからの手に主権を!

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安保法案が成立した。いろいろな考え方があろうと思うが、私はやはりこれは明白な暴挙だと考える。これだけの強行を進めるからには、ひょっとすると我々国民が知らされていない重大な事実があるのかもしれないが、だからと言ってこのような形でこのような法律が通過することはやはり国民主権の否定だと断じざるを得ない。違憲な法律を成立させることなど、政府によっても国会によっても許されるものではない。

国民の命を守るために不可欠だと首相は胸を張るが、では政府は福島原発事故の処理を真剣に行っているか?誰が見ても、未だに何が起こっているか分からない状況を放置していることは明白だ。国民の命を一顧だにしていないことは明確だ。そのような政権が国民の命と言っても、空虚に響くだけだ。

ましてや、核兵器は運ばないなどの方針、さらには国会承認を義務付けるなど、重要な点は法律でなく規則などに記載するとのこと。国民の代表が国会の場で審議する法律事項によって本質的な事項は決せられるべきだという、民主主義のもとにおける基本原則すら理解していない。言語道断と言わざるを得ない。

昨夜深夜の民主党の福山議員の反対演説を聞いた。基本的に同じ考え方だから当然と言えば当然だが、久しぶりにまともな政治家の心からの声を聞いた気がした。民主党は政権にいた時に残念ながら国民の期待を裏切ったわけだが、このことをきっかけとして、民主党に限らず健全な野党、政治家が育つことを期待したい。

私が恐れるのは、法案が成立した途端に、急進派の米国の一部の要請に従って、不用意な米軍追随行動を即座に我が国がしてしまうことだ。仮にそれが一部の国家にとって敵対行為と見なされると、我が国に対する軍事行動やテロの実行に即つながる。そして、そのようなことが起これば、もはや後戻りは出来ない。首相が目的としていると主張する我が国の安全は、この言語道断の暴挙によって永遠に失われるかもしれないのだ

一方で、今回の法案がきっかけとなって、一つの好ましい変化が起きたと感じていることは、SEALSなど国民自身の自主的行動が発生したことだ。安田講堂事件以来死滅していた我が国の知性が、特に若者たちの体制への批判的精神が復活しようとしていることだ。一部には、極端な左派の行動などと揶揄する向きもあるようだが、それぞれ個性は異なるので一律には論じられないものの、主権者たる国民が自分たちの国家をどう運営するかに関心を持つことは当然であり、私は高く評価する。

そして、これらの行動が、法案審議時の一過性のものでなく、今後も継続し、その中から本当に国民の代表となりうる人々が輩出することを期待したい。同時に、立憲主義を一顧だにせず国民主権を踏みにじった衆院、参院において賛成票を投じた国会議員は、二度と国民の代表の座につかないよう、一人残らず必ず次回の選挙で落選させるべく、わが国民が心して政治に向き合うことを期待したい。

望むらくは新たな政権が成立した暁には、全員を内乱罪ででも訴追したらどうか?もちろん現実問題として立件できるとは思えないが、彼らの言動は事実上国民国家を転覆させるようなものだということを是非訴えたい。

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