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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

もう少し外に目を向けよう!

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この間、ニュースでJALが国内線でWiFiのサービスを提供するという話が載っていた。顧客のニーズに合わせてということだと思うが、あまりに顧客におもねる対応ではないかと感じる。

確かに、機内でスマホなどが使えれば便利だろう。忙しいビジネスマンにとって、機内でも仕事が出来るのは時間の節約にもなる。だが、国内線などは高々2時間程度ではないか?ましてや、離着陸の時などの制約もあり、加えて飲料などのサービスもあるので、使える時間は限られている。そのくらいの時間は我慢させても良いのではないか?

もっと言えば、きっと結果はスマホゲームに集中する人たちが一番喜ぶことになるのではないか?最近は東京の地下鉄でも、ネット接続が可能なので、常に周りを気遣うことなくゲームに没頭する人の数が増えている。 何でも顧客が喜ぶサービスが良いのだろうか?もっと企業として新たな価値を提供することを考えても良いのではないか?

話は変わるが、今ロンドンにいて、昨日まで世界イスラム経済会議に出席していた。通常イスラム圏で開催されているものだが、今年は初めて欧州での開催となり、3000人弱の参加者という、大規模なものとなった。

不思議なのは、今年が第9回なのだが、昨年まで殆ど日本の参加がなかったことだ。私は、昨年から参加しており、今年は何社かの日本企業にも声をかけて総勢7名の参加団で臨んだ。商社も含めて日本の参加が少ないことは、主催者の方々も嘆いていた。

それにしてもすごいと思ったのは、私は遅れたので直接見れなかったが、キャメロン首相も最初にイスラム諸国との協調についてかなり突っ込んだ話をしたとのことだったし、初日の夕方間に合って参加したディナーでは、チャールズ皇太子が王室なのに、15分くらいイスラム金融の重要性を含めて演説をしたことだ。

もちろん世界金融の中心として、英国が資金力のあるイスラム圏の諸国を取り込みたいという意図もあると思うが、一方で世界金融危機の影響が残る中で、異なる仕組であるイスラムの考え方に、これからの世界のあり方への貢献を期待している、更に言えば、これまでの先進国が作り上げた経済システムや政治システムに対する限界を感じている、という見方も出来る。

ちょうど偶然だが、二日目の朝のThe Timesに、英国の家庭裁判部門のトップの判事が、もはやキリスト教を司法判断の根拠にすることは難しい、と発言したとの記事が載っていた。これはもちろん移民が増えたとか、同性婚とかの問題も理由の一つだろうが、徐々に生粋のイギリス人の中にも無宗教が増えてきているということも原因の一つのようだ。

イギリスは、カソリックのイギリス国教会が国の正規の宗教となっている国であり、その国において、このような動きのあることは、過去に英国連邦として世界に君臨してきたグローバルな知性が、引き続きこの国のエリート層に脈々と引き継がれていることを感じさせる。

これに対して、わが国の昨今の動きを見ていると、相変わらず価格競争に明け暮れ、国際市場での競争において国の力に頼み、自国だけが発展すれば良いという極めて狭量な意識の下に国家運営がされているような気がしてならない

昨今は、大手銀行もイスラム金融への参入を画策しているようだが、これも事業拡大の一つの手段でしかなく、これから伸びるからやってみようという意識にしか見えない。明治の開国以来、世界に追い付き追い越せと努力してきた日本だが、今のような新たな価値が求められる時期だからこそ、改めてこれからの世界に、人類にどう貢献するべきかと真剣に考えるときに来ていると感じる。

そして、これを進める上でも、一方で国内の諸問題に目を向けることは重要だが、他方で海外の人々と理解し合うことが大事であり、もっと世界に目を向ける必要があると考える。何かに参入するのではなく、まず理解を深めることから始めるべきではないか?その視点で見ると、あまりにわが国は内向きになりすぎていると感じるのは私だけだろうか?

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