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 セールスジャパンの経営を始め、様々な事業活動に携わるマイク丹治が、日々仕事を通じて感じていることをつづります。国際舞台での活動も多いので、日本の政治・社会・産業の課題などについて、グローバルな視点から、コメントしていきたいと考えています。

ちょっとバランス悪くない?日本の仕事

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今週は遅れましたが、何とか土曜日中に流せそうです。

ちょっとふと思ったことを。最近テレビでやたら芸人が中心の番組が目立ちます。もちろん、それなりに一生懸命やっているので、そこそこ面白いと思います。それに聞くところによれば、そこまで至るのに、駆け出しのころは本当に貧しい暮らしをしていたのだとか。

それは分かるのですが、でも彼らが一旦レギュラーを持つようになると、容易に年間数億の収入になる、これがどうもバランスが悪いと思うのです。そこそこしゃべりが面白くて気がきけば、まあ年収1億くらいは何となく納得感があります。でも、これが数億、或いは更に上だと数10億となると、本当にそんな価値があるの、ということになります

比較の対象として、例えば大企業の経営者を見てみると、昨今は経営者に対する風当たりが強く、1億を超えると公開されて、様々な非難の対象になる。でも、会社の経営者って、重要な場面で決断を迫られ、それが誤った場合には相応の責任を取らされるという大変な仕事です。これが1億でも多いと言われる一方で、芸人が平気で数億というのは、どうもちょっと変ではないでしょうか?

これはおそらく、芸人を中心としたテレビタレント、放送局とその関係者、そして広告をアレンジする代理店というトライアングルでの、利益誘導が行われているということでしかないと思うのです。見てみてください。芸人も、タレントも、放送局も、アナウンサーも、そして電通や博報堂の社員も、皆裕福ではないですか

そして、これを支えているのが、テレビコマーシャルは必ず商売の拡充につながると騙されている日本の企業たちなのです。一時はトヨタ自動車はマーケィングの予算に年間5千億を使っていたのですから。確かに企業のイメージを高める上で、テレビ広告はそれなりに意味があるかもしれませんが、だからと言って広告を見て車を決める人がいるとも思えません。

こういう目で見ると、もちろん単純な比較は不適切な場合もあると思いますが、職業別バランスという観点も重要だと感じます。例えば、衰退した繊維関連産業の中で、日本の縫製業は、おそらくその従業員の月収なるものせいぜい20万ー30万だと思われます。しかし、彼らが遊んでいるかと言えばそうではないですし、相応に仕事のスキルは保有しています。

でも、単に産業として国際競争力がないから、国内ではそのしわ寄せを食って従業員の報酬は減じられているわけです。仮に、無駄な競争をせずに、日本の品質を生かした高級な分野に特化できるような戦略があれば、全く異なる体系となることも想像できます。

別の例を出しましょう。アメリカでは、マクドナルドの店員の方が、銀行の窓口より時給が高いと言われます。何故だかわかりますか?簡単なことです。銀行の窓口が扱うのは現金と給与小切手だけ、つまり扱う業務は二つと単純。ところはマクドナルドは、ハンバーガーから始まってビッグマック、マックナゲットなど10種類以上の商品を扱うのでより複雑、だから給与は高くなるのです。

まあ、これはあまりに極端な例ですが、産業の流行りすたれもさることながら、仕事のレベルをある程度評価・比較して正当な報酬を考える、そんなバランス感覚も持って、今一度世の中を見直してみることが必要な気がします。

 

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