新入社員諸君。あなたに「支え」があったことを忘れないでください。
こんにちは。今回もお読みいただきありがとうございます。
先日、とある高校の「面接大会」なるものに参加してきました。キャリア教育の一環として、いずれ社会に出る高校生たちに、就職の面接を模擬的に体験してもらうことを通じて、自分をじっくり見つめる機会を作るという、素晴らしい試みでした。
私は学外の面接官として、10名の高校3年生の面接をしてきたのですが、たくさんの刺激を受けました。
思えば、社会人になってもう9年も経ってしまいます。色々な仕事をこなせるようになり、気づけば上司の数より部下の数のほうが多い・・・そんな立場になった。そんな僕にとって、意欲あふれる高校生たちのひと言一言は、初心を取り戻させてくれるのには十分すぎるほどでした。
初心。そう、私が社会に出るときに抱いていた心です。
- 将来、保育士になって子供たちがのびのびと成長できるように見守りたい。
- 宇宙物理学者になってダークマターの正体を解明したい。
- 体育の先生として、運動が苦手な生徒にも体育の楽しさを知ってもらいたい。
青々とした彼らの志と似たようなものを、私も確かに持っていました。
しかし、私の「初心」の隣には、常にとても大事なものが、寄り添っていたように思います。
ある高校生が、面接の最中に
「高校入試のとき、私の合格を自分のように、涙を浮かべて喜んでくれた担任の先生を尊敬しています。私も、あんなふうになりたいです」
そう言って、思わず涙をこぼす瞬間がありました。
ああ・・・自分もそうだった。思わず私も9年前の出来事を振り返り、目頭が熱くなりました。
ご存知の通り、私が保有している「公認会計士」という資格は、決して簡単に取得できるものではありません。優秀な方は1年足らずであっさりと合格したりもするのですが、そうではなかった平凡な私は、試験をパスするまでに5年もの歳月を要しました。
ようやく合格発表で自分の名前を見つけたとき、心の底から感じたことがある。
「ああ、僕は合格したのではなく、
『合格させてもらった』んだな」と。
忍耐強さも才能も無く、おまけにパニック障害というやっかいな症状を抱えていた私を、それでも支え続けてくれた人たちが、自分を会計士にしてくれた。
合格発表の報せを父親の携帯電話にしたとき、職場に居たはずの父親は、声を上げて泣いたのだった。私は驚き、そしてその時、初めて知ったのだ。「親父って、泣くんだな」と。
ああ、僕もこういう人間になりたい。「無言の声援」を送り続け、それでも気持ちをずっと寄り添わせてくれた親父のような人間に。
この春社会人になったばかりの、新入社員諸君。
皆さんに「初心」はありますか。
その初心を決して忘れないでください。あなたが将来その会社で、あるいはこの社会で何を成し遂げたいか、その青く熱い志を、どうか忘れないでください。
そして同時に、その初心を抱けるのが誰のおかげであるか、そのことを、都度思い出すようにしてください。
その「支え」が、あなたがどんなに苦しいときでも、きっと寄り添っていてくれるはずだから。