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世界を変える何かは、既に近くにあるかもしれない

研究テーマのバランスは難しい

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先週,アメリカ出張から戻ったのですが,まだ,時差ボケが直らない浦本です.年を取ってくると,いつもと違う生活すると,元に戻るのに時間がかかってしまします.

私は,IBMのR&D部門の一つである東京基礎研究所に所属していています.毎年この時期になると,来年の研究戦略をどうすべきかという議論が始まります.個々の研究員,研究チーム,部門,そして会社のレベルで,方向性を決めていくわけです.全社的なトップダウンの戦略もあれば,個人的な研究をどうするかという問題もあります.

どのような研究開発を行っていくかは,非常に難しい問題です.世界に対して大きなインパクトを出していくには,テーマを絞り,より多くのメンバーで強力に推し進めていく必要があります.しかし,逆に,誰も見向きもしないようなテーマにこそ潜在的な破壊力があるかもしれません.最近のノーベル賞受賞者の軌跡を眺めていても,その研究を始めた時には,その重要性が認められていなかったことが多いですよね.

すこし,問題を私にも語れるように狭くすると :-) たとえば,自分が預かる研究チームで,トップダウンな戦略と,ボトムアップな戦略をどのようにバランスするかがいつも頭が痛い問題です.例えば,研究員のAさんは,とあるテーマを深めていきたいのだけど,それは会社の戦略とは少し異なるような場合です.チームを預かるものとしては,より大きな戦略に沿って,チームの体制を組んでいきたい訳ですが,個々のチームメンバーも一騎当千な人たちばかりで,より自由な研究活動を好む人も多いのです.

トップダウンな戦略に全員をつぎ込むと,研究の多様性や柔軟性が失われてしまう危険性があります.やっている本人のモティベーションの問題もあります.ただ,個々の研究が本当に大きなインパクトを生むのかを,萌芽の状態で判断するのは,非常に難しい作業です.研究をやっている本人にとっては,自分の研究はすばらしい,なんで上は理解してくれないんだ,と思いがちですが(私も若いことはそう思っていました:-)),その研究がどんなインパクトを生むのかを客観的に把握できている人は少ないように思います.我々が本当に目指すべきは,単に論文がそこそこの学会に通ったり,プロトタイプが動いたりするレベルではないはずです.

などなどと,悩みが尽きない毎日ですが,とはいえ,新しいことを考えるのは,いつでもわくわくすることですし,いろんな人といろんな話をしながら,将来を作り上げられるといいなと思っています.

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