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米国テレビ局のサイトはこんな感じになっているよという話

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サウスパークのネット配信のことを書いたついでに、米国主要テレビ局のABC、CBS、NBC、FOXのサイトを簡単にチェックしてみました。各社に共通して言えるのは、超ドル箱番組(Prison Break、Lost、ER、The Simpsons等々)のフル・エピソード(番組全部)を無料で(強制CM視聴で)ストリーミング配信しているという点です。フル・エピソードの配信サービスはどのサイトでも中心的な位置づけになっています。これらの番組はテレビで放送された数時間から数日後にネット視聴可能になるようです。残念ながらIPチェックがかかっており、日本からは視聴できませんが(一応)。

NBCでは、一部番組のダウンロードもできるようになっています(ダウンロードを観るときにCMをスキップできるかどうかは不明)。また、ABCではLOSTをHD配信してますね。2-Minute Replayというサービスを提供しているところもあります。連続ドラマの特定の回のあら筋を見せてくれるわけです。見逃した回のストリーにキャッチアップしたいけど、丸ごと観てる時間がないという場合に便利ですね。複雑な筋のドラマですと、何回か見逃すと話についていけなくなって観なくなってしまうということがあると思いますが、こういうサービスが提供されていれば、視聴者にとって便利というだけではなく、脱落しそうな人を再度視聴者に戻せるという点でテレビ局側にもメリットがあるでしょう。

また、各動画は独立したURLが付いてますので、ソーシャル・ブックマークに登録したり、Diggに登録して議論したり、掲示板にリンク貼ったりできます。あまり人気がなかった番組が掲示板で盛り上がって再度人気に火が付くというケースもあるのかもしれません。

また、Hulu(NBCとNews Corpのジョイント)などの動画サイトやMySpace、MSN、AOL等へのシンジケーションも行われています。まさに、先日のNHKの番組でABCの人が言っていた「視聴者がどこに行こうと我々はついて行く」をどのテレビ局も実践しているわけです。「見せてやる」ではなくて「見ていただく」モデルと言ってもよいかもしれません。米国ドラマの質の高さは周知だと思いますが、ネット世代が良質のコンテンツに常に触れられる環境を作ることは、次世代の才能の育成にも大きく貢献するでしょうね。そして、またより優れたコンテンツが生まれてという良循環が回っていくのでしょう。

日本で言えば、月9だとか篤姫だとかHey!Hey!Hey!だとかガキ使を見逃しても(録画し忘れても)翌日にはネットで無料で見れる(各テレビ局のサイトに加えて、GyaoやYahoo!動画等のサイトからも見れる)、場合によってはダウンロードして通勤途中にiPodで観ることもできる、mixiのTVドラマコミュニティの中で番組が直接見れてコメント付けたりできる、2ちゃんねるのテレビ板で話題になっている番組があれば、レス中のURLをクリックするだけですぐその番組が見れるという世界です。米国の視聴者はすでにこういう世界を享受できてるんですね。

もちろん、日本のテレビ局も手をこまねいているわけではありません。昨日、フジテレビはVODサービス「フジテレビ on Demand」のPC向けの自社配信サービスを開始したことを発表しました(ソース)。同サイトに行くと無料の番宣ビデオがいくつか提供されています。また、フジテレビがCS向けに制作したオリジナルコンテンツ(たとえば、「GIRLFRIENDS」という「人気ドラマ」(昨年放映))が1話あたりわずか210円で1週間も視聴できるようです(動画のプロバイダーによってはさらに月額料金発生する場合あり)。日本のテレビ局もがんばってるんですね(棒読み)。

追加: 米国のその他の動画サイトについては大迫さんのブログのこのエントリーが参考になります。

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