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【感想】「Winny有罪」という言い回しについて

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昨日のエントリーのコメントで「Winny有罪」という言い回しがあったのにちょっと引っかかりました(ご本人は「Winny(の開発者)有罪」という意味でおっしゃたのかもしれませんが)。当然ながら有罪になり得るのは人(自然人か法人)であって、ソフトウェアが有罪になるということは考えられません。この言い方がWinny事件の難しさを表している気がします。

今回の判決、個人的には妥当とまでは言えないまでもしょうがないかなという気はします。車のたとえを使えば、スピードが出る車を作ったことで有罪になったのではなく、当初から「現在の道交法はおかしいからスピード制限なんて守る必要はない」と言い回り、実際に事故が頻発しても対策を取らなかったということで有罪になったということでしょう(判決文をまだ見てないので確実ではないですが、後日、判決文読んで事実誤認があれば訂正します)。逆に言うと、こういう点に気をつけてP2Pを開発すれば有罪になる可能性は低くなるのでは?(ということは、今回の判決はP2P技術の開発を促進する効果をもたらしたのかもしれません(シニカルだなー>自分))。

前も書きましたが、個人的に感じる違和感は、正犯を訴えられない、管理者たる法人も訴えられない(そもそも管理者なんていないから)ので、しょうがなく開発者を訴えたという構図が見えてしまうことでしょうか?Shareのように開発者不詳のP2Pだったら、検察側はどうやって対応するのでしょうか?

追加: あくまでも妄想レベルのお話しですが、金子氏が今回控訴せず、「深く反省しました。甘んじて罰を受けます。著作権はほんとうに大事ですね。これからは著作権保護機能を備えたP2Pを開発します。利用者のみなさんは、ソフトをハックして保護機能をはずすということがくれぐれもないようにしてください」とか言ったらどうなってしまうのでしょうか?

追加^2: よく考えたら民事訴訟のリスクもあるのに今の段階でそんなこと言うわけないですね。まあ、あくまでも妄想ということで。

Comment(16)

コメント

> 有罪になり得るのは人
というのは自明だと思いますし、昨日のコメントにあるのは会話の話で、まったく違和感はありません。
私のエントリのタイトルについては、「タイトル付け」の範囲だと思っていますが、無用な誤解は避けたいので修正しました。

>しょうがなく開発者を訴えた
これには同意致します。
winnyというP2Pソフトの特性上、「誰がそのソフトをアップロードしたか」ということを一人一人、調べることは、ほぼ、不可能に近いと思います。
そこで、「しょうがなく開発者を訴えた」という見方は、至極当然のように考えられます。

>Shareのように開発者不詳のP2Pだったら、検察側はどうやって対応するのでしょうか?
こちらも大きな問題ですね。
情報によると、winnyの監視で有名になった「ネットエージェント」という会社が
Shareを監視対象においたとのコメントを出しましたが、果たして、開発者不詳のソフトの場合、検察側はどのように対応するのか。
これは大きな問題であり、今の段階では、アップロードした人間を摘発するという方法でしか対応できないのが現状だと思われます。

Xmen

しょうがない判決。確かにその通りなのかもしれない。けれど、もし本当にしょうがなく判決を下したのであれば、これから裁判は本当に正しいのかを常に疑わなくてはいけなくなってしまう。法の下に・・・と言っているが結局は人の「誰かを犯罪者に」という気持ちがしょうがない判決をうんだのではないだろうか。
車の例えでも、日本で時速300kmで事故を起こしたらその自動車メーカーの罪ではない。匿名性の高いインターネットの世界故の判決だとしたら自分は納得がいかない。どんなに気を付けてソフトウェアを開発しようとも必ず悪用する手段はある。悪用されたら開発者が罪ではソフトウェアを開発することは半分犯罪を犯しているのと同じようなことだし、匿名性に気を付けて悪用すれば捕まらない。と言っているようなものではないのか・・・

ope

>実際に事故が頻発しても対策を取らなかったということで有罪になったということでしょう
MSNの毎日新聞の記事にて判決要旨が提載されていた内容を読むとそのようです。
金子氏が技術的、又は手段的に著作物のやりとりを抑制するような行為を提供しなかったと裁判官が判断したため有罪ということで、
結構妥当な判決のような気がします。
有罪の判断基準として、技術がどうこうということは関係ないといっているあたり技術者としては嬉しい判決内容ではないのかなと個人的に思っております

test

それなりの肩書きのある人がこんな文章を不特定多数の人が閲覧する可能性があるところに書くなんて!
もっと勉強してから書いてください。早く判決文を読んで訂正してください。
今回の裁判で論点になっているのは開発者が「違法性のあることを幇助するために作成したのか?」です。

例えばあなたの言い回しを借用するならばトヨタはスピード違反を幇助するために100km以上のスピードが出る車を国内向けに開発したか?」ということです。

朝日新聞によれば、正犯(Winnyを使って著作物をアップロードした人)も2名ほど起訴、有罪確定済み、みたいに書かれていましたが。

harako

金子氏も普通のWinnyを使っていれば、彼を著作権侵害の正犯か少なくとも共犯で起訴する余地はあった。
警察がはとしてそんな見込みで、彼を検挙したのではないでしょうか?
ところが、彼はダウンロードオンリーの独自版を使っていたんで、検察としては見込みが外れて幇助で起訴せざるを得なかったと言うのが実体では?
金子氏は自分が起訴される可能性を避ける目的でダウンロードオンリー版を使っていたのではないかと思います。幇助や教唆で起訴されたなら裁判で十分逃げ切れるだろうと読んでいたのではないでしょうか?

jun

まだ地方裁でしょ? 検察がというよりは裁判所も
本音では有罪と言いたくないが、

Winnyの不正利用のみについての有罪というチェックができない→抑制のために有罪とした→(→ 警察・自衛隊等の官に対しても配慮した→)高裁に提訴してね→その間に議論がなされ、不正利用が減ってくれることを願う→またその議論の間に法制度の整備を望む

というのは、どうだろう?

大岡裁き的な理想論は、不正利用の抑止に配慮を欠いている落ち度について(有罪ではないものの)証拠不十分で不起訴、ぐらいがキレイでは。

ただ、それじゃソフトメーカーがだまってないだろうからな。

saiya

>当初から「現在の道交法はおかしいからスピード制限なんて守る必要はない」と言い回り
と、なると、どのような言動や、どのようなソフトウエアの作成がこれに該当すると見なされるのか、が明確でないのが問題だと思うのですが。
その様な理由で、研究目的で作ったソフトを公開自粛した、ということもあるぐらいですし。

栗原潔

>>にしださん
あーそういえばそうですね。だけど彼らはBBSで「これからアップします」と告知したために身元特定されてしまったんですよね。
>>harakoさん
金子氏がダウンロードオンリー版を使っていたことで、検察は「金子氏はアップロードが違法となることを知っていた。ゆえに故意が認定される。」とのロジックを使えるようになってしまったわけです。ある意味皮肉です。
>>junさん
確かに裁判所にも迷いが見られるような気がします。違法行為の抑制のためというならばヘビーユーザーを民事訴訟というのが最も妥当であったような気がします。
>>saiyaさん
判決文を見ないと何とも言えないですが、金子氏にはそのような言動を捜査官の前でしていたらしいです。 http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000055923,20170927,00.htm 等を参照

mohno

> CNet の記事
この記事、探してました。ありがとうございます。要するに「著作権侵害の意図」と「そのための行動」があったと認められ、当然の結果として有罪という判決が下されたのだと思います。
それこそ Winny 2 とか Share の開発者が萎縮することはあるかもしれませんが、一般的な P2P ソフトウェアなど(有益な)ソフトウェアの開発者が、この判決をもって「悪意の利用者のとばっちりで有罪判決を食らうことを恐れる」とは思えないのですよね。FLMASK のときにも同じ議論が出ましたけど、有罪判決の後で、イメージ加工ソフトの開発者が次々逮捕されたということもありません。
別のエントリのコメントにもありましたが、ソフトウェアの不正流通を防止する効果があるなら、開発者にとってはそのほうが安心なのではないですかね。
> ヘビーユーザーを民事訴訟
アメリカでは見せしめのように(?)民事訴訟が起こされているようですが、個人の特定が容易なのでしょうか。

「犯行」時に正犯が確定していない幇助という解釈には無理があるのではないでしょうか。

もぐ

書いている人もいるが、
この記事が言っていることは矛盾していると思う。

自動車メーカーの人はスピード違反がある事を知らないのでしょうか?

>実際に事故が頻発しても対策を取らなかった

「スピード違反が起こることが予測されるのに制限速度を変更しない」というのと何が違うとお考えなのか、教えて欲しいです。

juliey

当判決についてですが、ちょっと違った意見です。
自動車の制限速度違反を引き合いに出されていますが、自動車のリミッターが装備されたのは、「速度制限違反は制限速度以上出せる車がいけないから有罪」とメーカーが処罰されたからではなかったと思います。
実際、自動車を製造できる者は登録・認可が必要で、行政が事業監督している一環で、憂慮される事態に対しては行政指導の形でリミッターを実装させたりということをするわけです。
社会のインフラとして機能するものについて国家が責任を持つ代わりに監督権限を発揮するというのはある種の政治ですが、その分野において情報通信を統括しきれていなかった事実がある。
そこで、お上が整備していないことを民間の、それも個人が出すぎた真似をしたところを叩きたい。というのがホンネなように感じています。
とはいえ、世界的なデファクトになっているフリーソフトの流れは無視できないのではっきりとした見解を出せないでいるという見苦しい状況なのではないでしょうか。
金子氏も、いっそWinnyをオープンソースで開発すれば本人の責任をここまで(政治に)悪用されることはなかったとは思いますが、そこはご本人の政治的信念の問題でしょうから触れません。
私は開発者なので、この事件の行く末に興味があるのですが、開発行為が許認可制になったりしたら、金子氏を訴えるようになるかもしれませんね。

お金の問題

今回は、札束の厚さが足りなかったから訴えら
れたと言うことで良いんじゃないでしょうか。
もし、使用者が札束を訴えた側にチラチラ見せ
ていれば、訴えられることは無かったんじゃないの?
何事も、お金が絡むと先鋭化するからね。

BitTorrentとかIP公開して堂々とP2Pすればいいじゃん。
Winny使うのはP2Pしてるのがバレないようにってのが大きいのではないの?

Torrentで流れてたAntinnyウィルス(でもただの実行ファイル)を見たことがあるのだが、明らかに違法コピーしたい人が引っ掛かるような罠だし。

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