HPのCSR活動について
今、HP社の産業アナリスト向け戦略説明会(@San Jose)に来ています。サーバ、ストレージ、プリンタ等の製品レベルの話ではなく、より上位の企業戦略(含、Mark Hurd CEOの話)を聞ける貴重な機会です。
内容については別の場所(おそらく、テックバイザーのWebサイトのメンバー・エリア(準備中))で公開することになると思いますが、興味深かったのはどのファンクションでもほぼ必ずCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)について言及しているということです。CSER(Corporate Social & Ecological Responsibility)という言葉を使う人もいました。たとえば、ファイナンス(リース)部門であっても、e-Waste問題(リース満了後のシステム廃棄時のリサイクル)への対応を強調していました。単に、金を融通するだけのビジネスではないということです。CSRが企業戦略における不可欠な要素になっているのだなということを実感しました。
事例の中で興味深かったのが、ハリケーン・カトリーナの被災者に向けた写真の再生プロジェクトでした(参照サイト)。水害により多くの被災者の大切な思い出の写真が水につかって損壊してしまったわけですが、それをHPのテクノロジーで再生するというプロジェクトです。HPのスキャナーを積んだバンで被災地を回り、それらの写真をスキャンしてサーバにアップし、世界中のHPのレタッチ職人が写真を修復し、印刷して持ち主に返すという方法です。もちろん、HPは金銭的な支援もしているわけですが、こういうITベンダーならではの支援の仕方はすばらしいですね。広告宣伝効果も非常に高かったとマーケティングのVPが語っていました。
同じことを日本でやると、たぶん、「人の不幸を商売のタネにするな」とか「写真の修復より家の修復をしてくれ」なんて意見が飛び交いそうな気がします(米国でもこういうこと言う人はいるのかもしれませんが)。しかし、ここで再び言いたい「やらない善よりやる偽善」だと。最終的な目標が企業イメージの向上という商売上のものであるにしても、結果として、ハッピーな人々が増えればそれでよいではないかと思うわけです。この思想が米国企業のCSR活動の根本にあると思います。