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「電波利権」を読みました

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買うだけ買って「積ん読」状態になっていた池田信夫氏の「電波利権」をやっと読みました。池田信夫という著者と「電波利権」というタイトルの組み合わせはかなり危険な香りがします(^_^;)。なかなか刺激的なカバー裏のコピー文を引用します。

「電波」という観点から見ると、テレビ局はとてつもない「既得権益集団」である。タダで貰った電波を無駄遣いする。電波利用料を携帯会社にツケ回す。政治家に媚を売り新規参入を妨害する、ほとんど無意味な「デジタル化」を進めてインターネット放送を潰す・・・。公共財であるべき「電波」が私物化されているのだ。「電波利権」の驚くべき構造を描き出し、「電波開放への道」も提言する論争の書。

このコピーからわかるように電波行政に関するちょっとどろどろしたお話。断片的には知ってましたが、まとめて読めたことで非常に勉強になりました。テクノロジー的には十分実現性がでてきた「放送と通信の融合」がなぜうまく進まないのか、なぜネット放送で韓国に先を越されてしまうのかなどの理由がよくわかるようになります。

実は「電波利権」にと呼ぶべき内容は前半だけで、後半はNHKの内部抗争の話とか、無線帯域オークションの話とかになってしまうのですが、それでもいろいろと参考になります。ただ、アナログハイビジョン(MUSE)が米国の外圧でつぶされてしまった(どこかで聞いたロジックだ(^_^;))という説はどんなもんかと思いました。仮にアナログハイビジョンを推進していたとしても、技術的にはあっと言う間に陳腐化してしまったと思うのですが(現状でも、ほとんど誰も見てないのに無線帯域だけやたら消費してますし)。まあ、池田氏はNHK出身なので、アナログハイビジョンには思い入れがあるのではと思いますが。

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