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ライブドア事件報道についてのモヤモヤ

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持ち上げたら落とすのがマスメディアの常とは言え、ライブドア関連の報道はちょっと度を越しているのではという気がしていました。朝日新聞の社説のタイトル「金で人の心は買えなかった」ってどういう意味でしょうか?地検の心は買えなかったということでしょうか?ホリエモンの拝金主義にはちょっとムカついていたが、今までは力も人気もあるのに否定できなかった。しかし、今なら思う存分叩けるという発想が見え隠れします。

これ以外にも、「ライブドアは金を右から左へ動かしてるだけの虚業」(じゃあ、金融業は全部虚業なんでしょうか?)、「時価総額を追求するのはおかしい」(株主価値を追及するのは資本主義経済の基本でしょう)、「金だけがすべてという人を経団連に入れたのは失敗だった」(「金がすべて」と言っているのは昔からなので、その時点で批判するべきでは?)等々、一見真っ当なんですが論理破綻している意見が見られます。

とまあ、なんかモヤモヤした気持ちでいたわけですが、朝日新聞に載った投資顧問会社社長の藤巻健史さんという人の意見を読んでたいへんすっきりしました。最後の段落のみ引用します。

「金もうけ」自体は悪いことではない。金もうけのためにあの手この手を繰り出すのも、資本主義の発展のための活力そのものだ。善悪の分かれ目はただ一点「法律に違反するか、しないか」。資本主義・市場経済を選択している法治国家としてあたりまえの、このことを再認識して、冷静に対応すべきだろう。

私の言いたいことが120%表現されていて、すっきりしました。

この記事の隣にある東大助教授(比較社会学・日本社会論)の佐藤俊樹先生の意見にも納得できる部分がありました。

「ライブドアを決して肯定できないけれど、ライブドアが壊そうとしたものは、もっと肯定できない」。若い世代を中心にそんなねじれた感情が今も根強くある。

うーむ。これも納得です(自分は若い世代ではないですけどね)。

Comment(24)

コメント

ねこまっしぐら

最近のマスメディアは自分たちの持つ力を大きさを全く認識していないように思います。
だからこそああいった無責任なコメントを平気で出せるのでしょう。
社説とか読んでいると特にそれを感じますね。
最近ではなんで社説なんて書いてんの?と思ってます。
そもそもマスメディアは、「民衆が知るべき事実を客観的に報道する」事が前提で、それゆえに、下手をすればペン1本で民衆を扇動すら出来る力が与えられているのに、なぜそこに一企業、もしくは一個人の考えを載せなければならないのか。。。。

nmaeda

近年に限れば、上場している大手企業で時価総額を重視していなければ、経営者として失格だろう。株主のことを考慮していないんだから。(買ってないが)

あと、堀江氏逮捕というような話題の時、彼の父・元担任教諭・以前バイトしていた新聞配達店・進学塾などのインタビューを流すのは如何なものか。彼らは、少なくとも堀江氏について否定的な場面で流されることを前提にインタビューを受けているわけではないだろう。言わば目的外使用だ。倫理的に考えて放送前にその旨を確認する必要があると思うが。

お邪魔します。
マスコミを辞書で見ると、「大衆伝達」って書いてますね。
大衆に伝達しているからこそ、「フェア」であることが重要です。
ここぞとばかりに叩き始めるのは、いったいいつから「フェア」の分類になったのでしょうか。
あるいは、マスコミはいつから「アンフェア」になったのでしょうか。
堀江さんもかばう気は毛頭ありませんが、フェアではない記者の意見を「報道」などと呼ばないでいただきたいもんですね。

栗原 潔

ライブドアの不正については(確固たる証拠があるものであれば)どんどん叩いて欲しいです。それに便乗してホリエモンの人格叩きをしたり、「小泉改革が負け組み・勝ち組を作り出したので、こんな事件が起きた」というようなアホな論調はやめてくれと思うわけです。

なまえ

> 善悪の分かれ目はただ一点「法律に違反するか、
> しないか」。資本主義・市場経済を選択している
> 法治国家としてあたりまえの、このことを再認識
> して、冷静に対応すべきだろう。

法律のみならず、法律とモラルの2点が守れてこそ、
善良な企業たりえると思えるのですが、
違うんですかねぇ…法律だけというのは何だかドライですねぇ。

こひけ

こんにちは、はじめてコメントさせて頂きます

> 「ライブドアは金を右から左へ動かしてるだけの虚業」
> (じゃあ、金融業は全部虚業なんでしょうか?)

お金儲けは資本主義の基本だと思いますが、ビジネスマンは常に「自分の経済行為(お金儲け行為)が人類の幸せの向上に貢献しているのか」を問い続ける必要があると思います。

それを忘れて金儲けだけに走ると「虚業」といわれたり、「詐欺まがいの行為」と言われたりするのだと思います。

虚業かどうかは、金融業か事業会社かではなく、人類の幸福に貢献するビジネスかどうか、で判断されるべきと思います。

そういう意味では、

> 「ライブドアは金を右から左へ動かしてるだけの虚業」

という言い方は非常に乱暴ですね。

殆どの金融業は「金を右から左へ動かすことで人類の幸福に貢献している」立派な実業ですし、
ライブドアの事業にも人を幸せにする事業がいくつもありました。
逆に製造業にだって「虚業」はありうると思います。

そもそも「善悪の分かれ目」を決めているのが法律なんだと思いますが、どうでしょう?
別件として、「よくできた作り話」かもしれませんが、ライブドアへの家宅捜査を放送する前に、マスコミ関係者がライブドア関連株を売り抜けたという話が某所に書かれていましたね。事実かどうかは永久にわからないかもしれないけれど、マスコミに対して「そんなのデマに決まっている」というほどの信用は持ってないですね。

やまき

たとえば「法制度の遅れ」という話題がありうる以上、「法律に違反するか、しないか」の一点だけだ、という論旨にはやや納得しかねるものがあります。
法律が禁じていなけりゃ何してもいいのが資本主義だというのは正直違うと思うんですが。

私は、いまのマスコミのライブドア(堀江氏)へのバッシングは、人を評価するのにお金持ちかどうかだけで評価してしまったことの裏返しだと感じています。日ごろお金以外の価値について、いろいろ講釈をしていながら堀江氏を持ちあげてしまって、自分の判断基準がお金であることがバレてしまったわけです。

堀江氏が法律を犯したとしたらその部分は非難されるでしょうが、かれの行動全てが否定されるわけではありません。私は堀江氏については評価すべき行動もあると思いますし、経営者としての能力もそれなりに評価に値すると感じています。しかし、株主から毀損する形で会社の利益を得る行動は、法律に触れなくても経営者として失格です。

そのような視点をもっての非難なら、今のような状態にはならないでしょうし、フジテレビとの争いの時点で持ち上げることもなくなっていたはずです。

日本のマスコミでは科学や技術に対して記者の知識が十分でないためのトンチンカンな記事によくお目にかかります。残念ながら、経済や財務に関しても似た状況にあったことがバレてしまった事件の一つではないでしょうか。

完全に受け売りなんですが、「時価総額=株主価値ではない」そうです。株主価値に市場が付けた価格が時価総額。テクニックをつかって時価総額を上げても株主価値は上がりません。結果株主は高い買い物をさせられることになります。

mohno

> 法制度の遅れ
法制度の遅れは、それはそれで議論できると思います。堀江氏自身、「法の抜け穴」というような表現を使っていたと思います。そのときには大して批判もせず、今になって株式分割や企業買収といった行為までバッシングの材料に使うのは「善良な行為」には見えません。
> マスコミのバッシング
なんというか「今までの仕返し」に見えます。「既存メディアをなめるなよ」とか :-)

マンセル

はじめて投稿します。前から感じていました。少なくとも株式投資などの同じ土俵=ゲームに参加している者同士の間では、モラルは抜きで、「法律=ルールに違反するかどうか」のみで判断してよいのではないでしょうか? そういうゲームであることに予め納得して参加している場合は、後は駆け引きなどは自由であるはずだから、モラルなどの問題を出すとかえっておかしくなるのでは。
ただ、最近は、という昔からか、「法律=ルール違反」を審判に隠れてやることを「うまい、よくやった」と誉めることが、特にサッカーやバスケットなどのスポーツで見られます。少年の頃から、そういう「練習」や「指導」を受けてるようで、そちらの方こそ問題では思います。

ねこまっしぐら

>モラルは抜きで、「法律=ルールに違反するかどうか」のみで判断してよいのではないでしょうか

これはちょっと言いすぎかと。
「ルールに違反しなけりゃ何やってもいい」という事になりますよ。
モラル抜きに判断していれば、ライブドアの100分割による株価吊り上げみたいに、ルールの抜け穴とかグレーゾーンとかを使った、いわゆるズルイといわれる行為が横行するのでは?

yoguro

>ライブドアの不正については(確固たる証拠があるものであれば

今のところ、物的証拠は見つかっていないようです。
どうして逮捕できたのか不思議でなりません。
大抵の記事が「関係者の証言」を元にしています。

何故かというと、実際に物的証拠を残さず消したからでしょう。

ホリエモンが無罪放免された後でも、地検は株価への影響を考慮するべきだったと叩かれるのでしょうか?

mohno

> ルールに違反しなけりゃ何やってもいい
やっていけないことはルールで規制すべき、というのが筋でしょうね。これは。
> ホリエモンが無罪放免
そうなったら大事でしょうね。ライブドア&堀江氏の損失を税金で補填、なんて話にならなければいいのですが。

ねこまっしぐら

確かにそれが筋なのですが。
結局の所、「ルール」というのはお互いが「フェア」である為に存在する約束事だと思っていますが、ルールに書かれていないことが全てフェアであるとは限りません。
例えばライブドアのやった株式100分割というのは、当時「ルール上」はOKでしたが、システムの穴を突いて株価を吊り上げたこの行為はフェアな行為と言えたのでしょうか?
私が言いたかったのは、そういった「ルールにはない想定外の手段を見つけた」時に、フェアであるかどうかを判断する拠り所が「ルールに違反するかどうか」だけというのは些か危険ではないか、ということです。

本多

> 例えばライブドアのやった株式100分割というのは、当時「ルール上」はOKでしたが、システムの穴を突いて株価を吊り上げたこの行為はフェアな行為と言えたのでしょうか?
では、ルールに記載されていない行為で逮捕されるのはフェアでしょうか?

ねこまっしぐら

あれは「ルールに記載されていない行為で逮捕された」
というより、「ルールに引っかかる行為」の証拠がごっそり消されているからそうせざるを得なかったではと思うのです。警察だって馬鹿じゃないんだから、よっぽどでないと「状況証拠だけ」で逮捕なんてしたくないでしょう。
証拠隠滅をしているようでは、逮捕がフェアだったかを語る前に、フェアな行為をしていた会社とは言い難いと思います。

mohno

「ルールに頼りすぎるのが危険」という全体論は反対しませんよ。(堀江氏も言うとおり)法の不足は整備すべきでしょうね。
たとえば100分割について、以前は「錬金術」程度に揶揄される程度だったのが、逮捕されたら完全な不正行為のように語られるのは変じゃないですか? ほんとうに不正なら、とっくに(少なくともライブドアが実施した後には)禁止しておくべきことですよね。

mohno

> 証拠隠滅
たしかに証拠隠滅をしているようではフェアな会社ではないでしょうが、証拠隠滅の証拠って残っているんでしょうか。

牛肉市場価格ナンバーワンを目指す酪農家がいますか?酪農家なら旨い牛肉を作り適正価格で沢山売る事に徹すればいいのです。それが牛肉価値の向上であって、牧場価値の向上です。
時価総額の追求=株主価値の向上なんて代表取締役が言っちゃだめです。

yoguro

>警察だって馬鹿じゃないんだから、よっぽどでないと「状況証拠だけ」で逮捕なんてしたくないでしょう。

だといいのですが・・・「株価が極端な動きをしたので、緊急逮捕した」という報道が出てるところが非常に気になる。

>証拠隠滅の証拠って残っているんでしょうか。

削除するときに0埋めしてくれるユーティリティが出回ってます。セキュリティ向上の一環として。という触れ込みですが・・・
メールサーバ側のバックアップも消してたらアウトです。

まあ、メールデータなんていくらでも偽造できちゃいそうですが・・・私はPGPとかで署名・暗号化したものでしか物的証拠にならないと思っていますが、米では普通のメールで捕まっちゃうそうです。

日本はどうなるだろ。

上記コメント訂正
誤:時価総額の追求=株主価値の向上なんて代表取締役が言っちゃだめです。
正:時価総額の追求=株主価値の追求なんて代表取締役が言っちゃだめです。

mohno

> 牛肉市場価格ナンバーワンを目指す酪農家がいますか?
松阪牛とか最高級(高値落札)を追求することはあると思うので、例として不適切かと。
> 時価総額の追求=株主価値の追求なんて代表取締役が言っちゃだめ
そういうメッセージを出す会社を信用しちゃダメ、と大衆に向けて言うべきかもしれませんね。
もっとも堀江氏はそれだけを言っていたわけではなく、既存メディアの馴れ合いを壊すとか色々メッセージを発信していたのが受けていたのであって、もともと「金の亡者」と思われていたわけではない気がしますが。

栗原潔

亀レスすみません。
私が引用した記事を書いた藤巻健史さんという方は元モルガンのカリスマ・ディーラーとして有名だった人のようです。まあ、そういう立場の人であれば、ルール違反しなければば原則何やってもよいというポジションを取るのは当然でしょうね。甘いことを言ってれば自分がやられるだけでしょうからね。少なくともマネーゲームの世界においては、こういう考え方もありだと思います。
特に、ホリエモンは別に金権主義や株式百分割を理由として逮捕されたわけではないのに、批判の矛先をそこに持っていってミスリードするメディアが多いということが藤原さんの記事の主眼になっていると思われます。
「時価総額の追求」って本来は「企業価値の向上の結果として時価総額増大の追及」ということが、一部の人にとって「株価さえ上げれば良い」とされてしまっていることが問題だと思います。これは、ルールうんぬんよりも、経営理念のお話でしょう。

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