下請けからの脱却:製品開発販売事業の現状
既に2015年度が始まっていますが、2014年度下期の当社IT関連事業を振り返ってみました。
まずは数年間の下期の業績を見てみます。下期だけにしたのは、IT関連業界では上期と下期でかなり売上が異なり、上期は予算取り〜仕様確定など、下期に構築〜運用開始となることが多く、売上も下期に立つことが多いため、上期と下期を一緒に比較しても傾向がわかりにくくなるためです。
2011年下期と、特に2013年下期に関してはゴルフ練習場向けシステムの仕事もかなりの規模で行っており、純粋なIT関連事業だけに絞ったため、売上が少な目になっています。
2014年度のポイントは、製品関連です。売上に対する経費の割合が増えたことと、売上に占める製品関連の割合が断然高くなったことがポイントです。
売上に対する経費が増えた背景は、アプライアンス販売が増えたための仕入れ増と、販売・サポートをどんどん社外に移行したためです。当社の場合、技術者集団であり、販売・サポートは不得手な分野です。製品開発販売事業を立ち上げた当初は、何事も自分たちでやってみなければ分からないと、基本的にハードの仕入れ以外は全て社内でやりました。その結果、販売・サポートに人手を取られ、開発がほとんど進まなくなってしまいました。ありがたいことに、販売・サポートをやらせて欲しいというパートナーさんに参画いただき、再び技術に集中することができるようになり、製品のアップデートや新製品の開発などにも時間を使えるようになり、結果として売上も伸びた、という感じです。
売上に占める製品関連の割合が増え、さらに2014年度下期は製品関連受託開発も減ったことから、個別対応よりも製品自体で稼ぐようになりつつあるということが言えます。
私はこのブログを書き始めた頃から、「下請けからの脱却」「固有技術での勝負」にこだわってきました。1990年頃から受託開発で人月平均120~130万円をコンスタントに稼いだ時期もありましたが、受託開発事業の難しさも痛感していました。「安定した収入を得るためには大手の下請けが安心」「下請けが単価や工期を主張することは難しい」「元請けの仕事が減ると当然下請けにも出てこない」「毎回違う分野の仕事ではノウハウが蓄積しにくい」「オフショアとの単価競争に巻き込まれる」「労働集約型なので人が動いた分しか稼げない」まだまだあった気がしますが、半期ごとに業績をまとめ上げるのはそれなりに苦労しましたし、なによりも自分たちが事業のコントロールをするというより、元請けに左右されるという問題がありました。労働集約型で大きな稼ぎを上げているのは基本的に大手元請けであり、中小下請けは決して楽に稼ぎ続けられない仕組みです。
そんな中でも、ネットワーク関連への集中や、各メンバーが固有技術を磨き、下請けとしては破格の条件で仕事を請けられるようにしてきましたし、脱大手を考える大手ユーザ企業から直接請け負う仕事を増やすことなどで、受託でも稼ぎやすい方向への試行錯誤をしてきました。しかし、それでも労働集約型の限界があります。
せっかく固有技術を磨いてきたわけですから、「自分たちが主体となって事業展開をしたい」という思いから、製品開発販売事業を本格的に立ち上げ、2005年からProDHCP、2006年からIntraGuardianを開発販売開始し、3年くらいで利益が出るようになり、それからも前述したように販売・サポートでの試行錯誤などが続き、製品開発販売事業を本格的に始めてからもうすぐ10年になりますが、ようやく名実共に事業らしくなってきた感じです。
新しい業態へのチャレンジはそんなに簡単な物ではありません。製品は、技術力があれば作ることは簡単とも言えますが、販売・サポートまでまともな状態にする為には、かなりの努力が必要でした。まだまだ課題がたくさん見えている状態ですが、パートナーさんにも恵まれ、多くのユーザに届けることができるようになってきました。
実はここ数年、メンバーの人数が減っているのも問題なのですが、自ら製品を生み出せる技術者集団に加わってみたい人、老若男女問わず募集中です!
奢ることなく、製品開発販売をこの業界でさせてもらっている現状に感謝しつつ、ますます良い製品を世に出していけるよう、優秀なメンバー達と共に今期以降もしっかりやりたいと思っています。