dynabook V713/28Jの第一印象
»
先日のdynabook KIRA V832と同様に、dynabook V713/28Jをモニターさせていただけることになったので、これから何回かに分けて書いていこうと思う。
●デタッチャブル ウルトラブック dynabook V713
東芝 dynabook V713(以降、V713)は、「デタッチャブル ウルトラブック」である。つまり、ウルトラブックとしてキーボード付きの普通のノートPCの使い方もできるし、画面部分が実はタブレット端末そのものになっていて、キーボードドックから脱着可能な構造になっているのが特徴だ。ノートPCとタブレット、二通りの使い方ができる、欲張りな仕様だということだ。
このアイデアは特に新しいものではないが、Windows 8でタッチパネル操作を本格的に売り込みたいメーカーサイドが、このところ力を入れているスタイルだ。
写真1 dynabook V713 (キーボードドック装着時)
●モバイルでの使い勝手
実際にタブレット端末としてさっそく持ち出して、喫茶店でモバイル運用をしてみた。
11.6型ワイド、フルHDの画面は、iPadとは比較にならないくらい広く、高解像度である。タブレットとしてのV713の重量は、約870g(28Jモデル)。厚みも12.4mmと薄く、カメラや書類などを乱雑に詰め込んだカバンの中にも、すっぽりとスムースに収納でき、持ち運びも楽々だ。
すぐにでも使いたいので、Chromeブラウザの「同期」の機能を使ってみると、アドオンソフトの設定やブックマークなど、私がいつもどのパソコンでも利用しているブラウザに関係するほとんどすべての環境が、この新しいマシンにもあっという間に反映された。あっけないくらいだ。ネットワークの接続とこれだけで、FacebookとGmailが使えるようになり、V713はもう即戦力の端末となった。スクロールの速さも問題なく、とても快適だ。Windows 8標準のソフトウエアキーボードが使えるので、Facebookやメールでちょっとしたコメントを返すくらいなら、ハードウエアキーボードなしでも十分かもしれない。
写真2 タブレット端末として使い、喫茶店でモバイル
ただし、液晶の解像度が高い故に、指だけで操作すると小さなアイコンをうまく操作できない難点はある。実はV713/28Jにはタッチペンが付属している(注)。やはり小さなアイコンの操作まで考えると、タッチペンが必須だ。タッチペンは感圧式ではないので、専用の電磁誘導方式のものでなければならない。
ちなみに、指で操作するマルチタッチのセンシングは静電容量方式である。つまり、用途と解像度の異なる2種類のタッチセンサーが搭載されているということだ。これはちょっと驚きである。
もうひとつ驚いたのは、下の写真に写っている本格的なタッチペンに加え、本体に収納できる小さな(サブの)電磁誘導方式のタッチペン(リザーブペン)が用意されていることだ。本体だけ持ち出したときに、ペンを持つのを忘れることがないので、大変ありがたい配慮だ。モバイル時にはこのリザーブペンでも十分そうだ。
電磁誘導方式のタッチペンの操作感については、改めてレポートしたい。
写真3 V713/28J付属の電磁誘導方式のタッチペン。
Facebookを操作し、閲覧しているところ
注: 下位モデルのV713/27Jには電磁誘導方式のタッチペンとデジタイザは付いていないので注意が必要である。
●キーボードドック装着時の使い勝手
では、V713のキーボードドックを装着したときの使い勝手はどうだろうか?
詳しくはまた改めて報告したいが、キーボードドック装着時にもウルトラブックと名乗るだけのスタイリッシュさを確保しているのは評価できそうだ。dynabook KIRA V832のエレガントさとは異なり、V713は少し「質実剛健」に寄った印象を受ける。できるビジネスマンのツールという感じだ。
キーボードの感触については、ちょっと使った感じでは、dynabook KIRA V832とかなり部品共通化がはかられ、似た印象である。ただし、V713のキーボードは装着時の全体の厚さを抑えるため、ぺらぺらのつくりになっており、キーを打ったときの感触はdynabook KIRA V832と比較するとあまり良くない。薄さというスタイルを優先し、ちょっと我慢という感じだ。
写真4 V713のキーボードドック
V713のキーボードには、私にとってとてもうれしいものが搭載されていた。アキュポイント呼ばれるポインティングデバイスである。ThinkPadのトラックポイントの東芝版という方がわかりやすいだろうか?キーボードの中央に青い丸いものがある。これを指先で操作することで、マウスカーソルが上下左右に動く。マウスやトラックパッドと異なり、カーソル操作のときにキーボードから手を離さないで済むメリットと、マウスパッドやマウスを動かすための机の面積が全く不要なのがメリットだ。やや慣れが必要なので、好みも分かれるとは思うが、アキュポイントの搭載は大歓迎である。東芝のノートパソコンには、ぜひ全機種搭載して欲しいものだ。
写真5 V713のアキュポイント
V713のキーボードドックを装着した状態で、画面を閉じた状態から90°と少しまで開くことができる。つまり、開く最大では角度がかなり垂直でそれ以上開かない。これ以上開くと、キーボードドックが軽いので、重量バランスを失い、後ろにひっくり返ってしまうためだろう。それにしても画面が垂直すぎて、必ずしも見やすい角度ではないと思う。もう少し開けるよう角度を調整できないのは、私にとってかなりのマイナスポイントで残念だ。倒れないような足を出せるようにするとか、もう一工夫して、もう少し開けるようにして欲しかったと思う。
写真6 V713 キーボードドック装着時 横から見たところ
(画面を開く角度最大)
●タブレット端末としての期待
以上、まずはファーストインプレッションとしてご報告した。難点にもいくつか気づいたが、やはりこの機種はタブレット端末として優れていそうだ。解像度の高さを活かし、電磁誘導方式のタッチペンで操作し、iPadではできないレベルの図面や写真の編集にも使えるのではと期待している。しばらく使ってみて、続報を掲載していきたい。
SpecialPR