支店展開2
オウム真理教がサリン事件を起こした当時は、ニュースや特集でオウム真理教のことがよく報道されていました。
いろんな悪事が公になる中、大きな鉄工所が乗っ取られたことが何度も報じられていました。
工場はもぬけの殻で、ガラーンとした建物の映像が頭に残っていました。
それから数年後・・・。
営業マンの知り合いで、とてもバイタリティのある人物がいるということを聞きました。
元会社の経営者で、今は何かの小さな事業をやっていて、メインの事業を探しているということでした。
以前はかなり大きな鉄工所を経営していて、オウム真理教に騙されてすべてを失った人ということです。
それを聞いた時、数年前に見た空っぽの鉄工所の映像が私の空っぽの頭に浮かびました!
「あの鉄工所の人かな・・・?」と思いながら会ってみると、すぐに間違いないと確信しました。
その話題は出てこなかったのですが、見た瞬間のオーロラが違ったのです。
あ、オーロラじゃなくてオラでした。(笑)
「オラはどうこう・・・」というしゃべり方ではなかったのですが、そこら辺の人じゃないのは一発でわかりました。
この時点では、すごいと思える人や大物に出会ったことがほとんどなかったので、圧倒されるくらいの雰囲気に飲み込まれそうになりました。
さすがにスピードも早く、その場で支店長になってもらうことが決まりました。
根拠はありませんが、自信満々の態度に納得という感じでしょうか。
固定費が増えるわけですが、それくらいは短期間で回収できると思ったのです。
というよりも、相手はスピードも早くて決断力があり、私はそれにつられて勢いだけで「はいオッケー!頑張りましょう~」となっただけですが。(笑)
その後に聞いたら、別にオウム真理教の信者とかではなく騙されてうまく利用されただけで、人脈とかはたくさんあるということでした。
いろんなパイプもあるようで、それだけで事業がガーッと広がりそうな予感がしていました。
すべてを失ったということでしたが、店舗付きの事務所は持っていたので言うことはなく、私からすればすべてそろっているようなものです!
それからしばらくして聞いたのですが、麻原やオウム真理教の幹部と一緒に行動していたこともあるということで、いろんな裏話を聞けました。
どうも信じやすくて騙されやすい性格のようで、所有するクルーザーで幹部一行を何度か招待したら、しばらくしたらクルーザーの名義が変わっていたということでした。
経営していた鉄工所は「○○鉄工」という名前が付いているものの、従業員が何百人もいて機械装置などを作っていたということです。
床面積あたりの機械装置の投資額は国内有数ということでした。
オウム真理教からは「空気より軽い金属を作らないか?」と接触されたということでした。
「そんな金属があるのか?」と笑ってしまいましたが、どうも本当に作ろうとしていたようです。
それにかこつけて、あっという間に工場を乗っ取られて機械装置を全部売り払われて、挙句の果てに夫婦で軟禁されたということでした。
おっと、あまりに面白かったので思い出していたら、つい話がそれていました。(笑)
ともかく、こうして4つ目の支店が誕生したのです!