奨学制度で出世を目指す
私が就職した関西の電力会社には奨学制度がありました。
簡単に言えば、給料をもらいながら授業料も出してもらえて大学に行けるということです。
とても魅力的な奨学制度ですが、当然ながらそう簡単に行けるわけではありません。
指定の国立大学を普通に受験して、合格しなければならないのです。
高卒の若者が対象で、毎年社内選考をクリアした十数人が挑んでいるのですが、合格するのは年に1人あるかないかという超難関なのです。
普通に仕事をしながら、現役の受験生や予備校に通っている浪人生相手に合格しなければなりませんので、工業高校卒レベルでは、超が5個くらい付く超難関なのです。
それとは別にもう1種類の奨学制度があり、指定大学の専門課程に2年間行けることになっていました。
2大学あり、それぞれ2名行けましたので、毎年4名が行っていました。
こちらは社内選考のみですので、毎年4人は確実に行くことができます。
併用はできませんので、どちらを狙うか考えました。
奨学生に選ばれることを優先するのであれば、2年間の専門課程の方を選びます。
毎年、数十人が受けるらしく、その中で4人に入ればいいだけなので楽勝です。
でも、その効力は社内だけで通用するのであって、社外では何の役にも立ちません。
一方、国立大学は難易度が高いだけあり、社内では大卒と同等かそれ以上の地位が与えられ、社外でも大卒という肩書が残ります。
ここで、高卒と大卒の違いを書いてみたいと思います。
給料が違うのはもちろんですが、進む道がまったく違います。
大雑把に言えば、高卒は営業所勤務に対して、大卒は支店勤務です。
営業所は需要家に接する現場であるのに対して、支店は複数の営業所をまとめる役目になります。
そのコースの違いは一生続きます。
高卒がいくら支店勤務がしたいと思っていても無理です。
優秀で出世が早くても、それは営業所内の出世であって、支店に行くことはできないのです。
いくら優秀で出世頭でも、高卒では営業所の課長止まりと相場も決まっていました。
典型的なバリバリの年功序列だったのです。
大卒連中の上に立とうと思っても、そもそも同じ土俵に上がれないので絶対に上に立てないばかりか、ずーっと下が決定ということです。
ここで唯一の手段が奨学制度です!
2年間の専門課程コースに行けば、それが終わると同時に支店勤務が約束されていました。
国立大学コースに行けば、卒業したら支店勤務が約束された上に、大卒と同等かそれ以上の地位になり、本店勤務も視野に入るのです。
いずれにしても、奨学生になれば同僚がいくら頑張っても追いつけない地位が手に入ります。
確実な方を取るか、さらに上を目指すかで少し悩みましたが、答えが出るのは早かったですね。
もうその頃にはずっといようとは思っていなく、機会があれば辞めることを考えていました。
そうなると、社内だけ通用する専門課程コースは何の意味もありません。
さらに私の悪知恵は働き、給料をもらいながら大学に行き、何か商売をして成功し、卒業と同時に会社を辞めてやろうと思っていたのです。(笑)
何をやるかはまったく考えていませんが、十分に使える時間が4年間もあり、ずっと一人前の給料も入ってくるわけです。
のんびりやったとしても、何もできないわけはありません!
今すぐ辞めて何かをやる勇気も行動力もありませんが、先に見えるものがあればすぐ行動に移せるはずで、この会社ともオサラバです。
ということで、悪知恵バリバリで国立大学コースを狙ったのです。