西日本豪雨への対応 私たちにできること
「豪雨 88人死亡 4人重体 58人不明(NHK・7月9日午前0時半現在)」
広域にわたって甚大な被害をもたらした西日本豪雨。予期せぬこととは言え、改めて我が国と自然災害は切り離すことができない現実を思い知らされた。
私が運営に関わっている災害支援のボランティア団体である一般社団法人・情報支援レスキュー隊(通称:IT DART)は、土曜日の夜に初動の対応について打ち合わせを行った。今後長期、広域に渡っての支援要請にどのように対応するかを議論し、必要な情報収集や発信の体制、被災地に持ち込む機材の準備、隊員への協力要請などの実施を決めた。
翌日曜日になり、岡山県倉敷市真備町で被災し、IT DARTとの関係のある方から支援要請を請けた。早速、その日の午後に対応の方策を議論、前夜に検討していた機材の準備を急ぐとともに、隊員2名を東京から現地に派遣することを決定した。
その日の夜、この災害の状況が次第に明らかになりつつあるなか、改めて状況を整理し、今後の行動と派遣を決定した真備町への対応の詳細について話し合った。
一連の打ち合わせに参加したのは運営メンバーを中心に10名ほど、ITエンジニアに加え、災害対応や防災に関わる大学や国立機関の研究者たちもいる。彼らの専門的な話しや国の動き、状況分析を交えながら、私たちは今後の対応を冷静に議論することができた。
参加者は全員、自宅や出張先にいて、直接顔を合わせてはいない。リアルタイムの議論はZoom、議事録はGoogle Docs、継続的な情報のやり取りはSlackを使い全てオンラインで行っている。全員がボランティアであり、強制力もなければそれぞれに仕事や家庭の事情がある。そのような体制でも支障なく、短時間に意思疎通が図れ、記録にも残せるこのやり方は本当に重宝している。そして、それぞれにできることを役割分担することで、支援の要請に応えている。
この団体の設立準備から関わり5年ほどになるが、「遅々として進んでいる」といった状況ながら、こうやって具体的な行動ができるようになってきたことは、大変喜ばしいことだ。しかし、改めて、今回のような広域災害にあっては、とてもとても手が回りきらないだろう。それでもできることはやってゆきたいという想いは共有している。
自分たちがボランティアであることの限界は誰もが理解している。それぞれに家庭や仕事の事情がある。そういうことをも理解し合いながらの取り組みは、無用な負担もなく心地いい。また、ITを駆使して対応することで、お互いの負担を軽減できていることも、大いに助けになっている。IT DARTに関わるようになり、改めて実際の仕事の現場におけるコミュニケーションや意志決定の生産性の低さを実感させられている。
いま私がいる八ヶ岳の南麓は見事な青空が拡がっている。ニュースから流れてくる災害の現場とはかけ離れた世界だ。この現実の大きな隔たりこそが、私にとってのボランティアに関わるモチベーションかもしれない。
被災地はこれからが大変だ。復興には相当の時間がかかるだろう。被災地における情報収集や発信、現地でのボランティア活動の情報の整理やマッチングなど、IT DARTとしても腰を据えて取り組んでゆかなければならない。もし、この取り組みにご関心のある方がいれば、ご連絡いただきたい。