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モバイルを使い始めて30年の筆者が活用しているモバイル機器、モバイルシーンを紹介していきます。スマートフォン、ノートパソコン、PDA、携帯電話に加え、様々なネットサービス(ソーシャル、クラウド、レンタルサーバーなど)、周辺機器(Bluetoothヘッドセット、Bluetoothキーボード)との連動をご紹介します。

iPhoneのテザリング機能の衝撃(第40回)

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モバイルを愛していますか?モバイル情報ブロガーの伊藤浩一です。

iPhone 5のおかげで、テザリングという言葉がメジャーになりました。テザリングとは、パソコンなどの他の機器を、USB、無線LAN、Bluetooth経由でインターネットに接続できる機能になっています。iPhoneを単独で使っているユーザーの方には関係ない機能ではありますが、パソコンや複数のスマートフォンを持ち歩いているモバイルユーザーとしては、非常に重要な機能です。

モバイルユーザーとしては、如何にネットに繋ぐか、というのが長年の課題でした。最初は、電話のモジュラーコードからモデム経由でネットにつなぎ、携帯電話やPHSをモデムとして利用するようになり、PCカード型のモデムカード経由でネットに接続し、公衆無線LANが登場して無線LANアクセスポイント経由でネットに接続してきました。

インターネットに接続するために、これだけ様々な方法にて、モバイルにて悪戦苦闘をしてきました。それは、モバイルとは時間と場所を選ばずに作業できる、ということが重要だったためです。

このモバイルの通信手段が大きく変わったのが、スマートフォンによる無線LANルーターアプリの登場でした。当時使っていたWindows Mobile搭載のスマートフォンにて、無線LANルーターアプリを起動することで、スマートフォンが無線LANのアクセスポイントに変身してしまったのです。しかも、公衆無線LANのようにアクセスポイントを探す必要なく、いつでもアクセスポイントを作ることができます。

スマートフォンは元々の機能は携帯電話なので、USBケーブル接続でのモデム機能は持っています。しかし、無線LANルーターアプリの凄いところは、ケーブル接続の必要なく、複数の機器を一気にインターネット接続状態にできることです。このアプリの登場で、スマートフォンへの考え方が変わりました。単体でネットに接続して情報を得るだけではなく、複数の端末のインフラになることを知ったのです。

しかし、日本の通信会社は、このスマートフォンの無線LANルーター機能に制限をかけてきました。ケーブル接続によるパソコンへのモデム接続を高額に設定し、さらに、Wifiルーター機能を塞ぐような手段に出てきました。スマートフォンでアクセスするより、何倍ものデータ量が使われて、回線を圧迫されるのを防ぐためです。

iPhoneの登場で、無線LANルーター機能が、テザリングと呼ばれるようになり、海外では、iPhone 3GSよりテザリング機能が実現していました。ただし、USBケーブル経由とBluetooth経由の1対1の関係のみでした。そして、iPhone 4より、いよいよ無線LAN経由のテザリングも可能となり、iPhoneが無線LANルーターとして活用できるようになりました。

このテザリング機能は非常に魅力的ではありますが、通信回線の圧迫はどうしても避けられません。そこで、LTEという新しい通信規格の登場にて、iPhone 5では、日本国内でようやくテザリングが開放になりました。ソフトバンクによるイー・アクセスの完全子会社化は、まさに、LTE回線網によるテザリング環境を実現したい一つの手段とも思われます。

モバイル発達の歴史は、まさにテザリング機能の発達の歴史でもあります。iPhone 5により、このテザリングがどんな風に進んでいくか、楽しみです。

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