モバイルユーザーにとって重要なのは体験することだ(第36回)
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モバイルを愛していますか?モバイル情報ブロガーの伊藤浩一です。
Twitter、Facebookといったソーシャルネットワークが盛んになることで、ユーザーが気軽にインターネットにコンテンツを発信することができるようになりました。ユーザーは、コンテンツとは意識をしていないかもしれませんが、一日のタイムラインをつぶやくだけで、ライフログとして立派なコンテンツだと思います。
ソーシャルネットワークやブログが登場する前に、私がホームページを始めたのが、1994年頃でした。それ以前は、ニフティサーブというパソコン通信のフォーラム(掲示板のようなもの)にて情報交換をしていたのですが、モバイル機器を使っているTIPSをまとめて公開してみようと思い、ホームページを始めてみました。
ホームページは、まさに自分のモバイルTIPSの備忘録としての役割だったのですが、少しずつ訪問してくださる方が増えていき、メールで質問やアドバイスや情報が届くようになりました。また、ホームページに掲示板機能を付けて、モバイルユーザー同士で情報交換ができるようになってきました。他の方からいただいた情報を、ホームページにて改めて掲載することで、ユーザー間で情報の共有ができるようになりました。
そのホームページは、今やブログ、ソーシャルメディアとして形は変わってきていますが、インターネットに向かう姿勢は、1994年当時のホームページを開設した時と実は変わっていません。コンテンツとして発信することは、「モバイル機器を実際に使った上で他の方に役立つ情報の形でアウトプットする」ということです。
今回、重視したいのが「実際に使った上で」という部分です。モバイルユーザーが少ない時代は、この「実際に使う」という行為が非常に大事でした。体験こそモバイルにとって一番大事な要素だからです。
グレ電(グレーの公衆電話)でモジュラーとモデムカードを挿したPDAでニフティサーブを巡回する手順は?通勤電車の中でPDAにPCMCIAのPHS接続カードを挿してケーブル経由でPHSを挿してFTPしながらホームページをアップできるのか?などなど、今となっては無駄な努力かもしれませんが、これらの体験がTIPSとして蓄積されてきたのです。
そして、このような体験を通じて、モバイル端末は評価されてきました。いや、評価されるべきなのです。ユーザーによるフィールドワークにより、使える端末、使えない端末が淘汰されていきます。
昨今のモバイル端末の評価に関しては、ソーシャルネットワークの発達で少し変わってきてしまった部分があります。実際に体験をしていないのに、ネットから得た知識のみで端末の良し悪しを評価する傾向があるように感じます。個人的に評価するだけならよいのですが、その未体験による評価がソーシャルで拡散して一人歩きしてしまうことも、見受けられます。
もしかしたら、実際に使ってみなくても、その評価は正しいかもしれません。しかし、モバイル端末に関しては、利用する場所、時間、人が目まぐるしく変化する端末です。その環境でしか発揮できない機能もあるはずです。
モバイル端末に関してのご意見は、ぜひ実際に体験した上で発信してほしい、と古いユーザーの私は感じています。モバイルユーザーのみなさま、多くのユーザーにとって有益なTIPSを、コンテンツとして、是非発信してください。
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