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これから起こるAppleのビッグバングとそれを支えるインフラの問題 その1

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WWDC予想その後

WWDCも大きなサプライズ無く終了し、私が書いた記事「iPhone hd 発表まで4日、2010 wwdc ジョブス・キーノートを恩田が予測する」の予想「Video映像、Geotagと顔、音声、文字認識を最大限に利用した全く新しいソーシャル・ネットワーク・システムを提案する。BingとFacebookにも連動する。このVideo SNSはUstream w/twitterとYouTubeにFacebookを足した物となるだろう。Appleは完全に自分のエコシステム内でしか存在できない複雑な物を提供するだろう。当然ASN (Apple Social Net work) から他へのフィードは可能だろうが、ASNは外からのフィードは受け付けないだろう(その必要が無い)。Steveは「SNSは今混乱している。発言の元も解らない、本人かどうかも解らない、また毎回色々なユーザー名、ハンドル名で一人のユーザーがコミュニケーションしている場合がある。このまま続けばSNSは崩壊するだろう」と言う。」は実現しなかった。

少なくともAppleは小さななインターネット会社の社名を購入し、Facetimeを製品名(正確にはファンクション名だがAppleサイトにはアイコンも無く、意味する事はこれが今後Appleの大きなサービスの核になる可能性を秘めていると考えられる)にした事で、総合依存するレベルでFacebook社とのAppleソーシャルでの連動は今後あり得ない事が明かされた。(Faceが付くありとあらゆる名前を押さえなかったのはFacebook社の大きな失態だと今後なるだろう)Facetimeを核にAppleは完全に独自のソーシャルメディアを提供する事が明らかになったと言っても良い。

下記で述べるインターネットインフラの問題やOS待ちが理由だと推測される。

iPhoneのリークはコントロールされていた?

当然アンテナで覆われたステンレスフレームや、ガラスを素材にしたケースは大きな反響を呼ぶはずだったが、既にリークされたのでインパクトは失われた。WWDCでSteveはステンレスのフレームがアンテナだと説明したが、iPhone 4のカメラ部分にメタルリングがあるのはGPSアンテナ? Appleは多くの歳月と開発人員を時期iPhoneにあてがった事は間違えない。HTCと比べても、比べ物にならないほど画期的な製品である。プラスチックより豊富で簡単に手に入り、加工できるガラスとステンレスを使った事も見逃せない。

それなのに何故あのようなリーク劇が繰り返されたのか?私が話した関係者も今回のリークの中にはコントロールされたリークもあったと信じる人も少なくない。2月にHong Hai工場で初リークが起こり、その後複数回リークが繰り返された。今までの常識ではあり得ない多さだ。

積み木型アナウンスからの脱出

WWDC後自分に聞いてみる。。「今Appleの一番凄い事は何か?」一番凄い事はAppleは焦らず、自分のタイムラインで製品やサービスを発表できるだけのアドバンテージをここ数年で他社より得た事実だ。Appleは大きな計画を一レベル一レベルアナウンスするのではなく、ドーンと一気にアナウンスする余裕を得たのだ。以前であれば細々した未熟なテクノロジーを繋ぎ繋ぎでアナウンスしてきた経緯もある。実際日進月歩のテクノロジー業界、HP, Dell, SonyやMicrosoftのような大企業は今でも積み木型発表を繰り返している。全部の玉が揃うまでアナウンスをしない事が凄い。

iPadにカメラが付かなかった理由

当初iPadは当然カメラ付きだと考えられていたが、発表されてみるとカメラは無く、Wifiと3Gの出荷時期も絶妙にズレていた。何で?事情通によると「Steveが決めた」との一言。この一言に深い深い意味がある。それは製品の販売をマキシマイズしたいAppleの心理戦略だ。私自身のストーリーと完全に一致する。早くiPadは欲しい、買えるのはWiFiだけ、即座に購入。数週間後3Gが出ればそれも買う。このパターンで2台購入した人は少なくないと思う。そう、「カメラがないので買わない」という選択は存在しなかった。私や周りの知人も数ヶ月後カメラ付きが出ればそれも買うのは間違えなく「製品セールズをマキシマイズする」天才的計画なのだ。それだけではない、初代iPad価格、当然5メガカメラやフラッシュを付ければ価格が高くなる。競争相手のいない市場でカメラを付け、値段を高くする意味が全く無い。またFacetimeやカロライナのセンター用ソフトが稼働していない今その必要性も無い。

iPadの電池は低密度で安価大型な物を利用した理由は?

iPadに使われている電池は低密度で大型な物を利用している。iPadの大きなスペースを低密度の電池で埋めた理由は、手で持った時の重心を計算した上の事だと思う。iPhone等で利用されている高密度電池を利用すれば当然価格も高くなり、普通のユーザーが一日の利用で必要としないバッテリーライフを与えてしまう。また片手で持った時のバランスを重視したのだろう。

ハードウエアーコンパニーからサービスコンパニーへ、そして全てにカメラが付いた

そう、だからWWDCのような場所ではなく、Appleが選んだ時と場所で「Unified Product and Service Company」としてAppleの一大発表が一年以内にあるのだろう。だんだんその要素が揃ってきている。当然私が昔から騒いでいる一番核となるノースカロライナの1,000,000,000ドルのデータセンターがこれを可能にする。AppleはChad HurlyとSteve Chenの下でYouTubeを開発した"X氏"が既にYouTube killerを開発しているという。Facetimeを核にした新たなサービスは我々の世界観を変える。先日発表されたApple MailやFind My iPhoneのアップデートを含むMobile Meはカロライナの5%程度しか今後も利用していなく、この大きな発表で全てのパズルが完成するのだろう。Apple OS 4.0ではなく、4.1で大きな大きなApple Big Bangが発表されるだろう。4.1に合わせてiPadとiPod touchにカメラが付くだろう。

Apple成長への障害となるネットインフラの崩壊

私は既に14日間米国にいるが、去年と違いどの場所へ行ってもインターネットの速度が遅く感じられる。最初はサンフランのWホテルやOCのWestinが悪いと思っていたが、AT&Tの3G回線も遅いと思った。ネットワークインフラの専門家と会食し色々と聞くと米国内で大変なことが起こっている事を知る。

クラウドの日常化、インターネットアプライアンスの増加、AppleのiPhoneから始まりAndroidの普及に伴いアメリカのインターネットインフラの崩壊が始まっている。多くの人がAT&Tは電波が悪いとかインフラが悪いとクレームをするが、実はこれiPhoneのせいだと言う。他の米国キャリアーSprintの代表の話では「もし弊社がiPhoneを扱っていれば弊社の回線速度も今のAT&Tと変わらないだろう」と知人に述べている。また米国のファイバー主回線が集合するハブでは、外部リングまでファイバーだが内部で結合する部分は独禁法等の理由から政府管轄の低速回線ファイバーで繋がれており、「インフラファイバー網」を跨ぐ場合速度が劇的に低下すると言われている。このままマルチタスクで起動するiPhoneが全土に広がると恐ろしいことになる専門家は注意している。

Case in point : あれだけ緻密に専門集団がサポートし行われたSteveのWWDCキーノートでさえデータパンクでSafariのブラウズが出来なかった。この問題はAppleがコントロールできない、キャリアもコントロールできない大きな問題なのだ。

Case in point : AT&TでGoPhoneを購入し利用しているが100kデータが19.95ドルだ。購入時AT&Tの人間に「iPhoneでは使うな」と言われた。その大きな理由はGoogle MapsやGeolocationだった事が判明。Echofonや4SQではあまりデータは使わないが、iPhoneのGeotagリフレッシュレートがかなり強烈であっ言う間、数時間で100kのデータは無くなってしまった。空港でMiiFiiを借りるべきだったと後悔している。

Bandwidth Demands Exceeding Internet Infrastructure Investment 2007年の記事

Internet Infrastructure Probably Unprepared for Multimedia Demands 2008年の記事

多くの専門家は2007年あたりから「現在のインターネットインフラでは2010年以降ネットは深刻な障害が起こり、数年後インターネットの速度が低下し大きな障害が起こるだろう」と予言している。その崩壊がクラウドとiPhoneで確定的になり、今キャリアー各社は何の対策も立てられない状態にいる。AT&Tのデータ無制限解除もこれらの理由が背景にあると言われている。Nemertes Researchでは早くからインタネットインフラ崩壊の危機を忠告している。最近の記事でもApple iPad, iPhoneやAndorid製品がインターネットインフラ崩壊の理由となると強調している。

AT&T Data Caps Highlight Importance of Application Delivery Optimization

Apple, Sprint Highlight Access Limitations

Apple iPad Sales Signal Transformative Power of Consumer Electronics

3G経由でファイバー網が多く使われる現在や未来を考えると光ファイバーインフラへの投資は絶対に必要である事が実証される。特に多くのデータセンターや映像のストリーミング利用者が増えることを考えるとなおさら必要だ。

AppleがWireless Committee多種に参加している理由

過去AppleはIEEEでIEEE1394という企画を世に広めた。(IEEE(アイトリプルイー、The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)は、アメリカ合衆国に本部を持つ電気・電子技術の学会である。)現在Appleは1394以後活発に参加した事の無い無線電や次期インターネットインフラの学会に参加しているという。参加する事で発明を押し進め、提出社隠すことが出来るからだ。AppleはFacetimeやノースカロライナのインフラをアナウンスする前か同時に新しいインターネットインフラ(一部かもしれないが)を提案するのかもしれない。独自のIPルーテイング方法をLTE方式に埋め込むとか可能性は無限だ。大量のデータを扱うVideoベースのショーシャルでは他のインフラが崩壊しても生存できるサービスを目指す必要性がある。その場合Akamaiに似た独自のサービス+ワイアレスサービスのハイブリッド型製品を展開するかもしれない。

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