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世界最高峰のモータースポーツであるフォーミュラ1を「斜め45度」から見ると、ビジネスや世の中が見えてくる!?まったり気ままに、時には真面目に。世界を駆け巡るF1ビジネスの仕組みから、F1でわかる経済学、エコとF1まで。フォーミュラ・コモンズがお届けします。

F1は「走る広告塔」ではない (1) ― 「真っ白だが、大丈夫か?」

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・斜め45度から「常識」を疑おう

 F1といえば、本田技研の創業者でもある故・本田宗一郎さんが提唱した「走る実験室」というイメージがあります。最先端技術の戦場、エンジニアたちの情報戦・・・しかし、ビジネスに関心のある方なら「いやいや、あれは走る広告塔だよ!」と思われるかもしれません。

 その通り!確かに、F1は走る広告塔です。車体にスポンサーロゴを掲載して、スポンサーカラーで全身を塗り固めて走ります。目利きのみなさんは「いったいどんなイケイケな企業が広告を出しているのだろう?」と、目を輝かせておられることでしょう (出典:雄山スズコ「F1で伸び盛りの企業を探せ」『投資4コマ漫画・カブ・ジェネレーション』2010年10月)。

 1950年から始まったF1が走る広告塔になったのは、1968年のことでした。以来40年間に渡ってF1はその広告ビジネスの伝統を守ってきました。自分たちチームの誇りであるF1マシンをスポンサーのカラーで塗り固める・・・1968年当時としては画期的、ともすれば常識外れだと非難された非紳士的な行為は、今やF1の常識となっています。僕たちF1ファンは真っ白なF1マシンが走っていると不安になります。「あのチーム、お金、なさそう・・・」

・F1が「走る広告塔」である時代は終わりつつある?

 でも、ちょっとまってください。

 なんだか、古くさいな、と思いませんか?様々なロゴが貼られたマシンは格好いいな、と思う反面、そんな広告モデルでこれからもやっていくの?とも、思えます。21世紀においても、40年前の常識が常識であり続けるとは限りません。僕たちの「常識」を疑うことは、新たなビジネスチャンスにつながっている・・・のかもしれません。実際、F1の世界にはその常識を「外れる」試みが現れてきています。

 例えば、2010年に小林可夢偉選手が乗った「BMWザウバー」のマシンはどうでしょうか(写真:Gregory Moine from Flickr.com, (CC) BY

Kamui Kobayashi's Sauber C29 in the Senna corner of the Gilles Villeneuve Circuit

 ものの見事に真っ白で、どこにもスポンサーのロゴが見当たりません。実はこのマシンはフェラーリのエンジンを積んでいるのですが、フェラーリのロゴもありません。もちろん、F1 から撤退したBMW のロゴもありません。よーく見ると「スカルプD」と書かれていたりしますが、ウォーリーを探すような作業が必要です。あまりの真っ白さが、哀れみを誘います。

 でも一つだけ、最も目立つ場所に、謎の古代文字のような記号があります。かつては「Powered by HONDA」や「マールボロ」と書かれていた場所です。・・・実はこの古代文字、「C」と「1」を組み合わせたシンボルマークなのです。そんな、マシンのとても目立つ場所にロゴを大きく掲載するとは、BMWザウバーチームについた大口のスポンサーでしょうか?「C1」って・・・どんな企業かご存じですか?

・「C1」はスポンサーロゴではない

 実は「C1」は、スポンサー企業のロゴではありません。「ザウバークラブ1(Sauber Club One)」という、BMWザウバーチームが自ら運営する会員制組織のロゴマークなのです。

 ・・・で、実はこの「ザウバークラブ1」、「ちょっと車体が白いままだと世間体がよくないから、とりあえず自前のロゴで埋めとくか」というレベルの話として片付けるのは勿体ないんです。それでは、その真の可能性は?そこにいったいどんなビジネスモデルが?F1はいったいどんな風に変わろうとしているのでしょうか?

・・・といったあたりは、次回に続きます。お後がよろしいようで・・・(^_^)

by blog.formula.commons (Quzy)

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