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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

英国Guardian紙が新たなデジタル戦略を発表。何もしなければ3−5年で資金が尽きる。

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英国のリベラルとされる新聞社でThe GuardianやThe Observerを発行するGuardian Media Group (GMG)は16日にデジタル化を推進する "digital-first"戦略を発表した。The Guardianは明確に自らの戦略を定義し、自らが目指している方向を明らかにしている。もちろん、その成否は時間を待たなければ分からないが、少なくても戦略は明確だ。日本の場合、日経にしても朝日にしても、なんとなくデジタルもやってみましたという感じが否めない。既存の組織やビジネスモデルを温存することが優先されているとしか見えない。新聞ビジネスは各地域での発達してきた経緯によって一概に比べることはできないが、直面している課題は同じように思う。以下、発表から引用しながら新聞の行方を考える。

昨年度に同社は主力であるこの二つの新聞で33百万ポンドの損出を計上した。2016年までにデジタル収入を倍増して1億ポンドまで引き上げるのがDigital Firstと呼ばれる戦略。新聞は危機的状況にあり「何もしない」という選択肢は無い。親会社のGuardian Media Groupはこのままでは3−5年以内に資金が無くなる。当面組織や人員に手をつける予定は無いが、今年後半に予定されているアメリカでのデジタル版の発行のためにはこの予算の中からやりくりする必要がある。新聞は”Open"なデジタル哲学を受け入れる必要があった。Open Digital Philosophyとは新聞社が自社の抱えるジャーナリスト達の枠を超えて広い社外からの記事も受け入れ、経営者がその80%の関心と注意をデジタルに注ぐことができるかが問われている。

the newspaper needed to embrace an "open" digital philosophy in which it embraced contributions from beyond the ranks of its own journalists, and posed the question whether the titles could spend 80% of their focus and attention on digital.

この最後の部分は新聞社として強い決意を現している。

"Every newspaper is on a journey into some kind of digital future. That doesn't mean getting out of print, but it does require a greater focus of attention, imagination and resource on the various forms that digital future is likely to take."

全ての新聞は何らかの形でデジタルという未来へ向かいつつある。それは紙が無くなることを意味するものではないが、十分な注意と想像力、そしてデジタル化に必要な様々な形のリソースが必要とされる。

there would be a redesign of the Guardian's Monday to Friday editions later this year. ・・・half of readers read the newspaper in the evening, the aim was to create a title that would be "as relevant at 9am as 9pm". It would focus less on breaking news and instead aim to emulate "Newsnight not News at Ten".

今年の後半に月金のThe Guradianの紙面をデザイン変更する。半分の読者は夜に新聞を読んでいるので、朝9時から夜9時までの間のタイトルにして、News at Tenではなく、Newsnightのようなものを真似る。(両方ともBBCの夜のニュース番組だが、Newsnightの方がより深く内容に踏み込んだ放送をすると言われているらしい)

Guardian Media Group's financial portfolio "offers stability" and would help the newspapers navigate the transition to an increasingly digital marketplace without the need for significant overall reductions in costs.

GMGの経営は安定していて大幅なコスト削減をしなくてもこういったデジタル化への投資を行うことができる。ABC調査ではこの4月に昨年比でThe Guradianは12.5%、The Observerは13.9%購読数を減らしている。デジタル版は4月に240万ユニークユーザーで31%成長している。GMGではデジタルへの投資だけでなく、新しいブランド構築への投資が必要だとしている。

GMGは”Open Journalism"を標榜していて、コンテンツはオンライン上では無償で読めるとしている。The Guardianは常にデジタル化に積極的で最近では年率40%の成長を達成している。今後アメリカ市場に展開しOpen Journalismを推し進める。Open Journalismとは編集された記事は他のWebコンテンツとリンクされネットワークを構成する。デジタルメディアの成長によってThe Guardianはこれまでになく広く読まれている。デジタル化を進めている力は同時に新聞発行者に挑戦状を突きつけている。読者と広告主は新しい技術やデジタルプラットフォームを好むので紙媒体の読者と広告は減り続けていて、これは今後逆行するような一時的な傾向ではない。

GMGはこれまでもDigital FirstとかWeb Firstといった戦略でいろいろな意味で新聞社のデジタル化を推進してきた。全ての記事は紙媒体に行く前にオンラインで発行され、一日に一度の発行という既成の新聞発行のルーチンからの意義深い旅立ちだ。

"a significant departure from the established routine of newspaper publishing where stories are held for 'once-a-day' publishing".

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