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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

仕事と家庭の両立の話

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定期的にアメリカと電話会議なるものを持っている。従来だったら顔を付き合わせて話し合わなければ、とばかりにいそいそと海外出張していたのであるが、テクノロジーの進歩はコストの削減に効果があるというわけだ。ま、確かにそれはそうだけれど、一般社員からすると一抹の寂しさも感じたりするのである。やはり人間関係の基本は互いに相手の顔色をうかがいながら話し合いをするところからスタートする。電話で話すだけではどうも相手が本音で思っていそうなことがよくわからない。僕は幸いにもこれまでに何度か海外出張しており、今は電話で話すだけであったとしても、顔も知っているしどんな性格だかもわかっている、ということもある。海外に出かける必然性が希薄になってからは、特に若い人達は人間関係を構築しているヒマがないので、コミュニケーション上のハンディキャップを背負うことにもなりかねない。

電話だからスケジュールするのも簡単なので、文字通り話が早いのは事実だろう。ただし、裏を返すと変更も安易である。この前は「Family Urgency」だからと言って電話会議をすっぽかされた。どうやら子供が熱を出したので医者に連れて行かなければならなくなったから、というわけらしい。まあ突発的にそうなることもあるかもしれないし、急な事で他に対応する術が無かったりすることもあるかもしれない。それに家族の健康を守るのも、お父ちゃんの役割だよね。と、思っていたら、先日は奥さんの誕生日だから早く家に帰らねばと電話会議をすっぽかされた。奥さんの誕生日って突然の出来事であるはずがない。思わずどっちが大事なんだ、と叫びたくもなったが、そう思うのは脳細胞まで仕事中毒症状に侵された人くらいなものかもしれない。よくカスタマー・サティスファクション(顧客が満足すること)が大事などと尤もらしいことをスローガンに掲げたりするが、それよりも生活上の基本である家族の満足(ファミリー・サティスファクションなんて表現するのかな)に意識を向けるべきなんだろう。世界の東の端で起きている事件なんぞ、奥さんの誕生日の前には消し飛んでしまうというわけだ。

日本の小市民である僕にはなかなか決断できそうな事柄ではないな。電話会議が予めスケジュールされていて、奥さんの誕生日に急に今日気がついたとしたらどうするだろう?誕生日に気づかないふりをしてそのまま仕事を継続するか、せいぜい家に電話して今度の週末にはきっと何かするからねと約束するか、といったところが関の山だろう。ちょっと僕都合悪いから、などと言って会議をすっぽかすだけの自信は持ち合わせていない。

巷で言う「ワークライフ・バランス」ってこういう時にどちらを推奨するのだろう?どう考えても「奥さんの誕生日」とは言わないだろうな。せいぜい周囲の状況に気を配りながら個人で判断しなさいと言う程度なんだろうな。

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