インスタグラムが伝統アパレルギャップを破壊する、物理店舗の新旧交代

テクノロジー

» 2015/06/25

　菊は栄える　葵は枯れる・・・・

　葵の花に吹く時代の嵐・・・・・（あのねえ・・明治維新じゃないんだからぁああ）

　栄える　ザラのお店

＜出所　ニューヨークタイムスマガジン＞

zara

　ギャップのお店が滅びてゆきます・・・・悲しいです・・・

gap elisabeth moss

The GapGap feels dated in the Instagram era.

ギャップの時代はインスタグラムの到来で終焉した・・・・

　＜出所　ビジネスインサイダー＞

北米の売り上げの推移（下の上の表）

上がギャップ、下がザラ

下の下の表は世界の売り上げです

上からザラ、H&M、ギャップ、ユニクロです

＜出所　http://www.nytimes.com/　＞

遂に日経新聞にも出ていましたが、北米のギャップが今後2-3年で25％の店舗数の閉鎖計画を発表しました。（全部で675 店あります）昔、有名なケネディ大統領などが流行らせたタートルネックはギャップの作品です。バレンチーノスカートもギャップです。ビジネスカジュアルなど大人のアパレルの代表でした。（但しギャップのオールドネイビーは例外のようです。バナナリパブリックはだめです。）ギャップの店舗数は現在、既にピーク時（2000年）の4割にまで減っています。それが更に減ると言うわけです。ギャップは１３か月連続で売り上げを落としています。Abercrombie & Fitchは３年連続売り上げ減少です。

さてGap, J. Crew, American ApparelやAbercrombie & Fitch、アメリカンイーグルなどの伝統的なアパレル専門店がお店の数を縮小する中、成長しているのはザラ、H&M（386店、昨年６５％増加）やユニクロ、 Forever 21などのファーストファッションリテイラーです。

これまで小売りはアマゾンが物理店舗を駆逐する「ショールーミング」やそれに対抗した「オンラインツーオフライン」などが注目されていましたが、IoT時代に入って新しいトレンド「IoTによる物理店舗の入れ替わり」が注目されています。今回の場合、センサーの代りをしているのは消費者がアカウントを持っているインスタグラム（写真や15秒動画の投稿）が主役です。小売りの場合、昔から「POSによる販売データの収集」が「売れ筋、死筋」を決めてきました。しかし今回のザラは消費者の呟き（写真や短い動画）を参考にトレンドを把握しています。IoT時代にはどうやら（インターネットを介した）POSデータ収集だけでは不十分と言う事のようです。IoTの捉え方も色々ありますが、筆者は「人とモノのハイブリッドネットワーク」（ブルーノ・ラトウール）ととらえています。ザラの場合はインスタグラムをアップルのアプリの集合知に近い感覚で使っています。

■ インスタグラムで目が肥える消費者

ミレニアル世代（１８歳―３４歳の２１世紀に大人になる世代）やセンチニアル世代（０歳―１８歳）はインスタグラムでファッション自慢をし、トレンドを作り、それを同年代の生活者が直ぐ欲しがります。インスタグラムが原宿の通りの役割をしているそうです。ギャップなど伝統アパレル小売のサプライチェーンのやり方では約１年のサイクルで一シーズンに一回の新商品しか出しません。（それも一年前のPOSデータの予測に基づいて）お金を使ってしっかりしたデザインを作りこんで流行を予測します。一方ファーストファッションレテイラーのザラやH&Mは、インスタグラムでの評判を基に２週間分の在庫と共に短期間で商品をデザインし、２週間単位で変えていきます。批評家に言わせれば彼らはクリエーターではなくコピーキャットだと言う事になります。しかしこのやり方ですと原宿通りならぬインスタグラム通りの最新ファッションに最大２週間遅れ(平均一週間遅れ)で追いつきます。ミレニアル世代は気に入ったと思ったファッションを明日着ていきたいと言う世代ですから。二週間単位で在庫を変更する、商品を売り切るとなれば二週間に一度はお店を訪れてもらえます。

■ ファッション回転速度の高速化が勝負

IoT時代のセンサーにあたる消費者のインスタグラムの個人投稿に合わせてファッション産業の社会的速度が２週間にまで短縮されました。IoTが社会を高速化し、物理的店舗間の主役交代、新旧交代を促進しています。