次は家族が使う合計アップル機器総数の拡大か？WWDC2014アップルのファミリーシェア、ホームシェアが実現するウルトラバイオレットの夢！！

» 2014/06/06

■ ファミリーシェアに注目

WWDC2014では新製品発表は一切なく、ヨセミテと iOS 8によるサービス（サービス支配論理）の充実がテーマでした。コンティニュィティによる各アップル機器の一体化やAWSやグーグルドライブに対するクラウドストレージの充実などもありますが、筆者がおっと思ったのは、ファミリーシェアでした。

家族6人までアプリ（含む電子書籍）、音楽、映画やドラマなどをiTunesストアからそれぞれのiTunesアカウントを使って家族共通の同一クレジットカードで購買出来ると言うモノです。子供達が含まれる場合には両親に購買許可申請の通知が来ます。親の登録クレジットカードを使う為には、これまでAppleIDを使わなければならず、子供が勝手にAppleIDを使った購買をしてアップルは3千2百万ドルものリファンドを余儀なくされていました。

更に家族間では写真の共有やカレンダーによる予定表の共有などが可能となっています。

しかしただこれだけではアップルにとってあまりメリットがありません。第一携帯三社の激しいマーケティングに慣れた日本から見れば「家族割！！」の要素がどこにもありません！！

■ ファミリーシェアを家族囲い込みに利用する方向へ

そこで恐らく、次にアップルが狙うのは家族間で使うアップル・デバイス総数の増加でしょう。マックやスマートテレビは家族が共有するケースもあり得ます。しかしタブレットやアイフォン、スマートウオッチ（これから出るアイウオッチなど）は個人単位での購入です。だからファミリーの一体化施策は意味があります。

家族が使うアップルデバイス増加の為には購買コンテンツの家族共有の促進とコンテンツの共有制限台数の拡大が必要です。それによって家族囲い込みを強化できます。家族全員にアップルのスマート機器を使わせる戦略ならば売り上げ面での貢献は非常に大きくなります。

例えば紙の小説なら父親が読んだ後、母親が読み、娘が読むと言うケースがよくあります。映画なども同じです。家族が順番にレンタルＤＶＤを見ることは良くあります。

現在はアプリ（含む電子書籍）、音楽、映画やドラマなどiTunesストアからコンテンツを家族間で共有する為には同一AppleIDの下、５台まで（iPhone, iPad, iPod touch, and Apple TV (2nd or later)の中で家族がやり取りして来ました。（ホームシェア制度）

この台数制限を例えば家族６人で１０台までに増やす事が出来れば、アップルのスマート機器の家族囲い込みが更に進みます。コンテンツを上手く家族割の手段に使う手法です。

■ ウルトラバイオレットの夢をアップルが実現するのか？

さて数年前の2012年10月、DECE(Digital Entertainment Content Ecosystem)が開始したサービスにウルトラバイオレットサービスがあります。一度、ＤＶＤなどを買ってウルトラバイオレットのロッカーサービスに登録すれば家族6人が一生涯視聴出来ると言うサービスです。しかし異なるアカウントを5－6個登録しなければならず、あまり使い勝手がよく無く、評判がよくありません。メンバーはNBC Universal, Paramount, Sony, 20th Century Fox, Warner Bros.など85社であり、ディズニーやディズニーと仲の良いアップルは参加していません。

一方ディズニーは独自のDisney Movies Anywhere （旧KeyChest）でロッカーサービスによるマルチプルデバイス視聴を開始しており、対象はアップルのデバイスだけです。ＤＶＤやブルーレイで映画やドラマを買い、iTunes account とDisney Movies Anywhere account をリンクすれば、Disney Movies Anywhere accountのロッカーサービスに映画を登録し、アップルの様々な機器で視聴できます。それも複数の家族メンバーが同時にアクセスできます。これが音楽のiTunesマッチに相当します。

アップルは家族のコンテンツ共有制限台数を拡大して理想的な形でウルトラバイオレットの夢を実現して、台数制限を外して大儲けする方向に上手く進めるでしょうか？注目です。

　家族割ならぬファミリーシェア発表