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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命と都市、グーグル、アップル、フェースブックはサンフランシスコから出て行けと叫びグーグルバスを打ち壊す「反ジェントリフィケーションデモ」が羨ましい!!

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<序文>

 いよいよスマート革命が米国の都市社会を変革し始めたようです。その証拠はallthingsDやテッククランチなどが取り上げているサンフランシスコの「反ジェントリフィケーションデモ」です。「グーグル、アップル、フェースブックの高級取りのお陰で家賃が29%も値上がりした。」おまけに既存の食堂や居酒屋は閑散とし、「紳士気どりのソフトウエアエンジニアが集まるこ洒落たコーヒーショップばかりが流行る。」サンフランシスコジャイアンツがワールドシリーズで優勝した時なんか「訳のわからんIPadなんか持って大騒ぎしている。」と古くからサンフランシスコに住む地元住民の怒りは収まりません。

 

そして彼らはアップルやグーグル、フェースブックの社員を市の南に位置する各社のオフィスに運ぶシャトルバスに怒りの矛先を向け、グーグルバスの紙玩具を破壊して鬱憤を晴らし、抗議の意思を社会に示しました。警察官が取り巻いて一体これは何だと言った面持ちで見ています。

 

日本でも渋谷界隈のネット系ベンチャー企業が米国並みに成功すれば、ヒカリエあたりの家賃が値上がりしたと地元住民が公共バスを打ち壊すような「反ジェントリフィケーションデモ」が起きるのでしょうか?

 

 

SFPD doesn't like pinatas グーグルバスの内壊し動画

 

Google Bus Pinata

<出所:テッククランチ>

anti-gentry-block-party

<出所:反ジェントリフィケーション運動>

★★Demonstrators Smash Google Bus Piñata in San Francisco

 

★★ Anti-Gentrification Block Party to Provide Rare Opportunity to Beat Candy Out of Google Buses

 

★★ Protesters Smash Google Shuttle Bus Piñata In Fight Against Rent Increases [Video]

 

★★ Anti-Gentrification Activist Goes On Hunger Strike 

 

<反ジェントリフィケーションとは・・・・都市社会学での説明>

 オランダの都市学者クラッセン氏は都市ライフサイクル論を提唱し、都市は「都市化、郊外化、脱都市化、再都市化」のライフサイクルを持つと主張しました。日本の高度成長期にみられたように農業社会から工業社会への移行時に都市に人々が多く集まり、工場群が出来る「都市化」、人々が郊外に快適な環境を求めて移住する「郊外化」、工場の中国(昔の米国から見れば日本)など発展途上国への移転などに伴う「反都市化(脱都市化)、工業都市の空洞化」そして創造の経済時代に対応して人々が都心に回帰する「再都市化」と言ったサイクルを通ると現在では論じられています。(かなり端折っていますが)

 

工業社会が衰退するとともに米国の都市も多くが衰退し、嘗ての鉄鋼の都ピッツバーグのように古い錆びついた町が残りました。(反都市化)一方工業社会から知識社会=創造の経済時代になれば、クリエイティブ・クラスと呼ばれる人々が台頭し、再度都心に回帰します。これがサンノゼ、オースチン、サンフランシスコなどに象徴される再都市化です。クリエイテイブ・クラスとは金融マンや弁護士(アメリカのドラマには一杯出て来ます)、そしてアップル、フェースブック、グーグルなどに勤務するシリコンバレーの高級エンジニア達です。このクリエイテイブ・クラスは嘗て都市を形成したあらくれものの労働者と異なり紳士的な洗練された振る舞いをします。これが都市住民のジェントリフィケーションへの移行と呼ばれるものです。

 

反ジェントリフィケーションデモとは、古くからの都市居住者による「紳士を気どる、はなもちならないソフトウエアエンジニア出て行け!!」と言う叫びです。

 

<創造の経済が成功した証拠>

 

新しい都市住民たるクリエイテイブ・クラスは「高給取り」かつ「洗練された文化」をもっています。(読者の皆さんも持ってますよね 笑)それに古くから地元に住むメキシコ系米国人や芸術家達が反発して40人程度のデモになり、抗議の象徴としてグーグルバスの紙模型を叩きつぶしたと言うのが事の真相です。

 

クリエイテイブ・クラスは現在のオバマ民主党政権の支持基盤と見られており、米国経済が工業社会から知識社会へと成功裏に移行しつつある証拠です。創造の経済はあまりに生産性が高く、成功したアマゾンが雇う社員の数(クリエイティブ・クラス)が潰れたサーキットシティやベルトバイのリストラ社員数に到底及ばないという状況が米国の経済の回復と失業率の高止まりの原因だと言われています。だから反ジェントリフィケーションデモが発生しても全く自然であり、米国社会の次の時代への移行の成功と残された課題を浮き彫りにしています。

 

日本でもネットベンチャー出て行け!!、IT部門くたばれ!!と言った反ジェントリフィケーションデモが発生すれば、情報化社会=知識社会への移行は成功と言うことなんでしょう。

 

これは対岸の火事として見れば実に面白い社会現象ですね。

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