スマート革命と経済、アベノミクスの熱狂は江戸末期の「ええじゃないか」と一緒か?
<序文>
毎週、日曜日の午前8時から放映している大人気の関口宏司会によるTBS系の「サンデーモーニング」がアベノミクスを取り上げていました。その視点は「アベノミクスは江戸末期の「ええじゃないかの狂乱」と一緒か」と言う面白い視点だったので取り上げます。何しろ毎回視聴率を10%以上取る25周年を迎えた人気番組の切り口ですから。
アベノミクスとええじゃないかの両者の共通点は「慶事の前触れとして天から御札が降ってくる」と民衆が信じた社会現象にあります。
さてアベノミクスとは自民党の第二次安部内閣が三本の矢などで掲げる一連の経済政策の事を意味します。安部首相とエコノミクスを重ね合わせた造語です。2%のインフレターゲット論が有名ですが。アベノミクスの理論家はエール大の浜田教授だと言われています。(彼の助教授時代、国際金融の授業聞いたけど何時もドル売りとドル買いを間違えるし、サッパリわからんかった)
安部さんが首相に就任した途端、期待先行で何も手を打たないうちから円安が進行し、トヨタなど多くの輸出企業の収益が改善し、株価が1万円を超えて、デパートの初売りも好調であり、消費が活発になって景気が回復基調になったと言う夢のような現象が起こりました。安部首相は経済団体連合会に前代未聞の賃上げまで要請し、アベノミクスの心理効果を煽っています。
一方ええじゃないかに関しては以下のWikiの説明が判りやすいです。
明治維新の直前に天からお札が降ってくると言う事で民衆がコスプレして踊りまくる社会現象がおきました。
アベノミクスによる株高、円安、そして景気回復基調には文字取り「天から御札が降ってくる」「これは慶事の前触れだ」と言った生活者の側から見て他力本願的な共通イメージがあります。
引用
ええじゃないかは、日本の江戸時代末期の慶応3年(1867年)7月から翌慶応4年(1868年)4月にかけて、東海道、畿内を中心に、江戸から四国に広がった社会現象である。天から御札(神符)が降ってくる、これは慶事の前触れだ、という話が広まるとともに、民衆が仮装するなどして囃子言葉の「ええじゃないか」等を連呼しながら集団で町々を巡って熱狂的に踊った。
引用終わり
江戸末期におけるええじゃないかのコスプレ騒ぎ
★★アベノミクス効果でマネー誌“特需” 投資熱高まり最新号売り切れ
★★ アベノミクスとは
★★ ええじゃないか
<不完全な近代経済学>
さて近代経済学は物理経済学とも呼ばれるほど数学や物理学の手法を経済現象に応用して理論的説明を試みたものです。しかし社会科学としては底が浅く、それ以上に問題なのは天気予報以上に当たらない為替と株の値動き予測です。
はっきり申し上げて社会科学としては不完全な要素が多すぎます。
そこで近年ではダニエル・カーネマン(ノーベル経済学賞受賞者)などを中心に限定合理性が指摘され、近代経済学はゲームの理論に代表される社会心理学の応用の方向に流れています。
<社会心理学による社会現象の説明>
ええじゃないかの騒乱にしてもアベノミクスにしても明らかに心理現象として経済が動いています。経済は期待(エクスぺクテーション)で動くと言うのは近代経済学の一理論ですが、昨今では行動経済学の影響により進化心理学が経済現象の説明に多用される時代になりました。
従がってアベノミクスに対する期待、特に過去3年間の民主党政権時に醸成された閉塞感(東日本大震災、テレビに代表される家電崩壊、尖閣列島問題での外交敗戦など)の結果として、生活者が解放感を求めても可笑しくない状況が続いていました。江戸末期のいいじゃないか騒動もペリー来航以来の安政の大獄や京都における新撰組と尊王攘夷派の争いなどが日本に閉塞感をもたらしていたと考えられます。
<行動経済学に期待しよう>
さてアベノミクス現象の説明には近代経済学者は「公共投資中心の古い経済学だ」などの批判が有りますが、筆者は行動経済学者の説明が是非、聞きたいところです。
<スマート革命と心理現象の活用>
アベノミクスの魔法のような景気回復は、心理現象としては非常に面白いものがあります。そして一人一台のパソコンから一人が7台のスマートデバイスを時と場所や場面によって使い分けるスマート革命の時代には、ネットと現実が重なり合う面白い心理的マジック(アベノミクスの魔法に比すべき)がマーケティングにも活用され始めています。例えば店内にWiFiネットワークを引いているローソンでは「アバターのあきこちゃんの声」で店内放送をしていました。
初音ミクがホログラムとなって実施したパフォーマンスは国内でも海外でも大人気です。これも一種のええじゃないかであり、アベノミクス現象とマジックの活用において共通点があるのではないでしょうか。
面白い時代になってきました。