「フレンチオープンのインターネットテレビ放送」など着実に進む欧州のスマートテレビの動き
<序文>
2010年2月、「バンクーバーオリンピック」ではドイツがハイビジョンと共に欧州標準のインターネットテレビ(HbbTV)を導入しました。その前年12月には一ヶ月でHbbTV対応の韓国のヒューマックス(セットトップボックス)が57万台売れて大騒ぎになりました。それに続いてフランスでも2011年5月の全仏のテニス選手権「フレンチオープン」がインターネットテレビ(HbbTV)で放映されています。またスイス、オランダ、チェコ、スペインでもインターネットテレビ(HbbTV)の採用に向けた実験が進んでおり、2011年末にプロトタイプを作るとされる英国標準のYouViewと合わせ、欧州は着実に2010年代におけるテレビメディアの変革に向かって進んでいます。
一方日本はNHKが2014年にハイブリッドキャストを実施すると発表したのみでテレビ業界を挙げたスマートテレビへの展望は開けていません。2011年7月の地デジ移行を前にメディアの歴史的転換点に日本は取り残され始めています。
★★ 未来の立体テレビにNHK流スマートテレビ、技研公開は見どころ満載
★ ★ France Television Launches HbbTV Live in France for Roland Garros Tennis
★ ★Le lancement de HbbTV en France
<全仏テニスにおけるHbbTV>
世界テニス四大大会のひとつである全仏は5月から始まっていますが、公共放送のフランステレビがHbbTVを活用して生中継をしており、ソニー、サムソン、フィリップス、LG、ローイ、パナソニック、東芝のテレビメーカーがHbbTV対応テレビを提供しています。また一般のデジタルテレビに装着するセットトップボックスはTNTと韓国のヒューマックスの2社から出ています。操作はリモコンからボタン一つで可能です。
視聴者は全仏の生中継をフランステレビで見ながら、試合の対戦予定や選手紹介や過去の戦績など関連情報をインターネットから引き出して見ることができます。
これはごく標準的なインターネットテレビです。
HbbTV(ハイブリッドブロードキャスト・ブロードバンドTV)
選手の紹介や試合の予定、試合中の模様など
<出所: Le lancement de HbbTV en France >
<日本はどうするのか>
NHK技研の発表ではNHKは3年後に「HybridCast」(国内のNHK流スマートテレビ)を実装するそうです。BBC放送を参考にしているNHKはまだしも国内の放送業界や日本政府は7月の「地デジ移行」を叫ぶのみでスマートテレビの具体戦略がありません。
しかし国内でもシャープのフリースタイルアクオスやパナソニックのお部屋ジャンプ対応機種、ソニーのブラビアの最新機種は明らかにスマートテレビです。
国内でも「地デジ移行」終了後は存外、あっと驚く動きが多発するかもしれません。