「行政デジタル化」って、何年やってるの? ~しかし、やはり原因はあった
新型コロナウイルスへの対応の中で、行政システムの非効率性・デジタル化の遅れが浮き彫りになり、政府は骨太方針の筆頭に行政のデジタル化を据え、今後1年間を集中改革期間と位置づけるとの決定を行いました。
とはいえ、ネットでは「行政のデジタル化なんて、いったい何時から言ってるんですか?」とか、「何年経ってもペーパーもはんこも無くならないじゃないですか」などの声もあります。Wikipediaを見てみると、日本では1994年には電子政府への取組みが始まっていたようですから、まあ、変える時間は結構あったようには思いますよねえ。
そもそもの開始時から躓きまくっているマイナンバーですが、オンラインサービスのマイナポータルの使いにくさには定評があり、今回もPCからの申請にはMicrosoftのInternet Explorer(IE)が必須、とのことです。そもそもMicrosoftはIEの使用を止めてEdgeへ移行するよう推奨しており、それを使わせるというのは、セキュリティ上も大きな問題となりかねません。
マイナポイントサイトがIE縛りというニュースに対し、ネットでは当然「何でいまさら」「おかしいだろう」といった反応が渦巻いています。まあ、ちょっと詳しい人ならそう思いますよね。私もそう思いました。そしてIE縛りというのはマイナンバー関係サイトだけではなく、「電子政府」の隅々にまで行きわたっているようです。
いや、ちゃかして笑いものにしている場合ではありません。これは本当に深刻なことです。2025年の崖で、経産省は民間の尻を叩きましたが、自分たちのシステムも急いでなんとかしないと本当にまずいことになります。
しかし、今時IEが時代遅れな事くらい、IT関係者であれば誰でも知っています。いくら官庁がITオンチだとしても、全員がそうでは無いでしょうし、システムを組むのは名だたるSIerです。その人たちがこんなことを知らないはずはありません。おそらく、法律とか縦割りとか事無かれとか、いつものいろんなアレがあるのではないかなあ、とはなんとなく思っていました。
やはり「中の人」は頑張っていた
この件について、「中の人」のnoteを見つけました。
楠さんは「内閣官房 政府CIO補佐官」ということですので、今回の件を含め、いろいろな政府系システムの内情を知っておられる方かと思います。少々自虐的なタイトルですが、「まさか2020年にもなって、こんな解説を書かねばならぬことになろうとは思わなかった」という書出しで始まります。いやあ、申し訳ありませんが知りませんでした。少なくとも、こんなに生々しい話は読んだことがありません。尚、この記事からリンクされている以下の記事も必読です。
内容としては、予想以上というか、想定を遙かに超えたひどさですね。これはもう、災害(人災か?)レベルです。そして、誰が悪いのかを特定できないという日本独特のシステマティックな問題とも言えます。こんな状況下に置かれたら、対処できる気がしません。こういった環境下でもモチベーションを保って「向こう数年で状況は改善することが見込まれる。」と前向きでおられることには敬意を表せざるを得ません。
しかし、この状況を根底から変えて真の電子政府を実現するのは、相当に大変そうです。(民間にも似たような状況はあるのでしょうが)楠さんの他のエントリを見ると、実にさまざまな問題があり、それに対し真摯に向き合っておられますが、部外者としては、解決の糸口すら見えません。とはいえ、諦めるわけにもいかないでしょう。どうしたら良いのか。今のところ、楠さんのような方々に引続き奮闘していただけることを祈るくらいしかないのでしょうか。
「?」をそのままにしておかないために
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