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Googleはネグロポンテの夢を実現するのか?

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ニコラス・ネグロポンテという方をご存じでしょうか? MITメディアラボの創設者です。

私がネグロポンテ氏の名前を知ったのは、Red Hatに在籍していた当時、もう7年以上前になります。当時、氏はLinuxをOSに採用した「$100 PC」の実現に取り組んでおられました。

$100 PCの正式名称はOLPC (One Laptop per Child)です。その名の通り、世界中の子供に1台ずつPCを配布し、等しく教育機会を提供しようとしたものです。貧困問題は教育格差の問題であり、その是正が問題を解決する可能性がある、というのが氏の主張だったと記憶しております。当然Red Hatも協力していました。

$100 PCは当時 (iPhoneもタブレットもありませんでした) としては破格の価格でしたから、多くの企業の協力を求め、CPUもIntelと競合するAMDを採用していましたが、Intelがこれに対抗して別の低価格PCプロジェクトを立ち上げたりしていろいろ混乱しました。Intelとしては純粋にビジネスの問題だったのでしょうが、台数が分散するとコストダウンが計画通りに進まないとしてIntelを批判する事態に発展したこともあります。

N・ネグロポンテ氏,インテルの低価格PC無償配布プログラムを批判

しかし、ハードウェアコストは放っておけばどんどん下がるわけで、今年になって$100 PCがビジネス的にも成り立つことが視野に入ってきました。Chrome Bookです。Chrome Bookは現在$200を切っており、今後も価格は下がるでしょう。

しかし、それよりも早く$100を切ってしまったデバイスがあります。中国製などでは昔から安いものはありましたが、今年の5月にHPが$100タブレットを発売しました。ネグロポンテ氏の夢を実現するには別にノートPCで無くても良いので (当時はタブレットという概念は無かったので)、これで充分でしょう。というより、常時接続のタブレットのほうが使い勝手が良いとも言えます。

$100 タブレットもまた、Googleが開発して無償で配布しているAndroidを使っています。Googleへの対抗心を燃やすMicrosoftも、近々$200を切るPCと $100 のタブレットを出すと発表しています。

ネグロポンテ氏の夢が実現しつつあるわけですが、別の側面から見ると、企業の善意を募ったプロジェクトが結局頓挫し、様々な企業がビジネスメリットを追求 (Google が Android を無償配布しているのは自社のビジネスのためであり、Microsoft が Windows のライセンスを無償化したのも Google に対抗するという純粋にビジネス上の理由でしょう) した結果であるということは重要です。やはり、持続的で破壊力を持つ改革はビジネスの延長線上でしか実現は難しい、ということを示唆しているのかも知れません。

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