スポーツ解説者としてのブロガー
遅ればせながら、先日行われたボクシング・内藤大助 vs. 亀田大毅戦について。
この「事件」に関しては、試合内容の酷さ(というより亀田サイドの悪質さ)が批判されていますが、試合を中継した TBS の中継にも非難が集まっています:
■ 亀田戦で苦情殺到 TBSに1485件 (asahi.com)
特に問題なのは「アナウンサーの実況や解説者のコメントが亀田寄りだ」という点。僕はこの試合、音声はほとんど聞いていなかったのですが、それはこれまでも TBS が亀田サイド一辺倒だったため。試合の中継に限らず、ニュースやワイドショーでも亀田家を持ち上げるばかりだったので、「どうせまともな中継はできないだろう」と思って実況・解説は無視していたのですが……思った通りだったようですね。
しかし思わぬところで、数多くの名解説者を見つけることができました。それはもちろんネットの上。有名人/一般人を問わず、様々なブロガーさん達が今回の試合を解説されていて、「なぜ亀田選手があのようなスタイルで戦ったのか」「狙いはなんだったのか」「内藤選手がKOを狙わなかったのか」を理解することができました。もちろんブログなのでリアルタイムで、というのは無理ですが、彼らがいれば偏りのあるTV解説など必要なさそうです。
先日『職業としてのプロ野球解説者』という本を読みました。残念ながらページの半分ぐらいは「現在のプロ野球批判」に当てられているので、ちょっとタイトルに偽りありという感じなのですが、この本で論じられている「野球(スポーツ)を解説すること」と「単なる司会者/バカ騒ぎ役を務めること」の違いには納得させられます。
深澤 江本さんとよく話すんだけど、テレビの視聴率が下がって、野球人気に陰りが出ているっていうんだけど、「僕はこんな放送していたら野球人気なんか落ちて当然だ」ってよく後輩たちに言うんだよね。アナウンサーと解説者、ディレクター、プロデューサーがみんなでどういう野球中継をつくったらいいか、知恵を寄せ集めて真剣に研究しないとね。だって、最近の実況中継は軽すぎるでしょう。バカ騒ぎすればいいと思ってる。「感動」なんて言葉をなんであんな簡単に使えるんだろうか。
「深澤」というのは、元ニッポン放送実況アナの深澤弘氏。そう、いまテレビのスポーツ中継で繰り広げられているのは「視聴率目当てのバカ騒ぎ」なんですよね。だから悪い理由であっても注目を集める選手を、社を上げて祭り上げるなんて行為がまかり通るのでしょう。テレビ局がそんな体質になってしまったことも、テレビの衰退に拍車を掛けている一因なのかもしれません。
その流れをさらに加速するのが、「スポーツ解説者としてのブロガー」という存在なのではないでしょうか。もう少ししたら、画像は YouTube で見て、解説は「アルファ・スポーツ解説ブログ」に期待する、なんてスタイルが定着してしまうかもしれません。