82年前に書かれた警句なのに、今でも耳が痛い
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この頃もっぱら鈴木大拙の本にはまっている。
今読んでいるのは、「禅とは何か」。初版は昭和5年=1930年ということだから、今から82年も前の本だ。なのに、今読んでも胸にぐさりと刺さり、耳が痛くなる。
科学というものはまことに結構なものである。我々の生活というものが便利になり、物が安直になり、昔は大名か大金持でなければ、手に入れることもできなかったようなものが、今はわれわれ誰もが平等に口に味わい、身に着けていることができるのである。その点はまことに結構であるが、それと同時に人間がことごとく人形になってしまった。機械になってしまった。これは私は近代文明の弊害であると思う。機械を使うというと、人間が機械になるのではないことはいうまでもないが、人間はまた妙にそれに使われる。使うものに使われるというのが、人間社会間の原則であるらしい。人間が機械をこしらえて、いい顔をしている間に、その人間が機械になってしまって、その初めに持っていた独創ということがなくなってしまう。近代はますますひどくなってその弊に耐えぬということになっていく。
この弊に陥らざらしめんため、何をすればよいのか、この本を読み続けて見つけていこう。
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