オルタナティブ・ブログ > コンサルタントが語る組織活性化のポイント >

組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

人材紹介を利用して「採用決定率を上げる」ポイントについて

»

人材紹介会社を利用すれば、適材適所の優秀な人材が完全成功報酬型で採用できる、との理解から人材紹介会社に求人を依頼した。けれども「なかなか良い人材が決まらない」「そもそも良い人材の紹介・推薦がない」と採用がスムーズに進まず困っている人事採用担当者は多くいらっしゃいます。

そこで採用決定率を上げるためのポイント、少しばかりのヒントを取り上げてみます。

--

まず求職者は新着案件に敏感に反応しますので、求人が様々な広告媒体やスカウトメールを介して、世の中に放たれたらスタートダッシュで応募者が集まり、数ある候補者の中から選び、面接を経て、無事採用となれば一件落着です。ポジションのニーズと転職マーケットの人材がマッチしていれば、比較的早期に決まるのが普通です。

ところがそうはうまく行かず、時間だけが経っていき、あっという間に3ヶ月、そして6ヶ月と経過した場合、その案件はさらに決まりづらくなります。中には1年間掲載されている案件もあり、決まらないということは、どこかに問題があるということです。

まずチェックしていただきたい事項は、
■想定年収の書き方
■募集・採用背景
■会社における部門のミッションと、その部署における自身(採用者)の役割と構成
■そのポジションで描けるキャリアビジョン

このあたりが大きなポイントになります。
通常の求人票に必要な項目は当然書き込まれるとしたうえで、上記項目を確認します。

--

■想定年収について
年収幅が広い書き方は募集効果が極めて低いです。例えば同じ経理職を採用するにしても、ジュニア層からマネジメント層まで幅広く選考を検討される場合に、年収350万円~800万円というような書き方は効果を発揮しません。幅広く検討するのであれば、
 「実務経験3年未満・日商簿記3級程度」年収350万円~450万円
 「実務経験5年以上・マネジメント経験あり・日商簿記2級必須」600万円~800万円
というように具体的なポジションのイメージが出来る内容で、年収幅は200万円以内がよいでしょう。

-

■募集・採用背景について
その採用がなぜ行われるのか、はっきり明記すべきです。「業績好調により増員募集」や「事業拡大による新設ポジション」などポジティブな要素はアピールすべきですし、求職者は安心します。逆に「欠員補充」の場合でも、異動による補充なのか、退職者補充なのか、曖昧にせずしっかりと説明したほうが、求職者は実は安心できます。退職者補充の場合には、定年退職による部長級の募集もあれば、配偶者の転勤など、求職者にとってマイナスとならない材料もあります。求職者が一番心配するのは、そのポジションが短い期間で何度も変わり、募集が出ているケースです。黙っていてもいずれわかる話なので、そもそも何人も辞めているポジション自体に問題があるので、体制の見直しをまずは考えてほしいところです。

-

■部門のミッションと、その部署における自身(採用者)の役割と構成について
総務部、人事部、経理部など、だいたい何をやっている部署かはわかりますが、会社によってその役割や構成は様々で、まず会社の中の部署の位置付けと、そこにジョインした場合に自身はどういうポジションで活躍ができるかというイメージを描いてもらい、応募への動機づけに繋げていきます。

-

■そのポジションで描けるキャリアビジョンについて
部門のミッション、自身の活躍像が描けたら、次は将来のキャリアビジョンがどう描けるかを伝えていきます。本人の努力次第で到達できるキャリアプランニングをメッセージとして伝え、なおかつ複数の選択肢があるのが望ましいでしょう。

--

総じて面接で伝えればいいのでは?と言われそうですが、とにかく面接の場を設けること、その場を増やすことを目的としていますので、誠意を持って情報開示していくのが結局は早道となります。

・求人企業からすれば、エントリーしていただくこと
・求職者側からすれば、書類通過して面接の場に行くこと
この接点を増やすために上記4項目を工夫して、採用決定率をぜひ上げてください

--

先日面談した求職者がたいへん興味深いコメントをされていました。自分が行きたい会社は業種や業界で選ぶのではなく、仕事内容以外に、会社・事業の舵取りを大切にしているとのコメントでした。経営者の方針、事業責任者の方針・施策がぶれずに一本化している組織で全力を尽くして貢献したいとおっしゃってました。理念の浸透やリーダーシップ、このあたりも採用決定率を上げる重要なヒントになるのではないでしょうか。



ヒューマンリソース事業部
東海 次郎

Comment(0)