転職を考えている方々へ(その3)
先日のエントリの続きの続きです。
これまで説明したように、
1)そもそも求められている「成果創出能力」がないのでは話にならない。
2)ただし、「能力」があってもそれが独占的、寡占的な排他技術でなければ「人柄」も大事。
ということです。
人柄のアピールについて、採用基準的考え方については以前に2007年度版と2009年度版のエントリを寄稿しましたけれども、それらもふまえ、今の時代に転職をうまくやって実現していただくために、別の視点からもできるだけ簡単に「心得」を解説しておきます。
まず、くどいですが・・・
「人柄で採用してくれ」は言いすぎです。
「成果創出能力はもちろん、でも人柄も是非診てほしい」というスタンスが重要です。
ですが、「人柄」がダメなのに、高い「成果創出能力」だけで採用されることは、殆どないです(個人的には残念なことに、ゼロでもありません・・・)。人間商売、人間資本の仕事であればあるほど、これは明確です。
その昔、「人柄で欠落した部分が多々あっても高い能力があれば問題ない」という文化がコンサルファーム業界に存在していたことは事実かなあと思っています(個人的には)。
ですが、今の時代は明らかにそれは通用しません。そこまでコンサルティングビジネスは昔のような圧倒的「競争優位性」がないのです。コンサルティングサービスに頼らなくとも代替案を駆使して(多少回り道したり少し余計なコストがかかったとしても)実現できるソリューションが増えてきて、すなわち差別化要因が非常に薄れてきているのです。
これを、これからの時代は、「人柄」のすばらしさで補うべきと思っています。高い能力は当たり前、だけどその能力を発揮してもらう場所は大抵がクライアント・サイトです。ですからどうせならその成果創出のプロセスを共有する周囲にとって、「ああ、この人と一緒に仕事できて本当に良かった」と感動してもらえるような人柄が重要なのです。
コンサルタントとして素養がそれなりに優秀だろうということは、当然わかっているうえで、採用サイドはさらにその人が「加わる」ことで、どれだけ周囲に良い影響が付加価値的に創出されるだろうかという点に、特に今は大いに期待をしているのです。ただでさえ、私は世間にコンサルタントが(あるいはファームが)とても増えたと思っていますし、そもそも景気のこともありそれは需要に比べて明らかに多すぎると思っています。そんな時代に「人柄」を無視した「高成果創出」コンサルタントのどれだけが生き延びていけるのか、大いに疑問です。今こそ人間資本商売の何たるかが問われていると、とても身が引き締まります。
私が考える「人柄」の3本柱は、
「自分が語る前に人の話をまず親身になって良く聞けること」
「いつも真剣な顔で仕事に臨み、それでいて必要なときは笑顔を心から表現できる」
「真面目第一、手を抜かず、そして常に他人の事を始めに考える」
人材商売と思えば、当然とも思っています。
でも、自戒を込めていいますが、毎日実践するのはとても難しいです。
継続的な努力が必要です。ですが、その心がけがまずあれば、転職プロセスで「人柄」を疑問視されることもないでしょう。
いろいろ語ってきましたが、雇用形態とか契約形態に限らず、これらのポイントを日頃の活動で適宜参考にしていただければ幸いです。