オルタナティブ・ブログ > てくてくテクネコ >

顧客サービスとITのおいしい関係を考える

【Salesforceはもういらない】サイボウズ kintoneリリース

»

ソーシャルおじさん徳本さんの「牛丼3杯分!サイボウズのファストシステム kintone。そしてクラウドのCybozu.comに驚ろく。」を読んで、kintoneに興味を持ちました。

サイボウズの「kintone(キントーン)」を一言で言うと、Webベースの業務アプリケーションを開発できるクラウドサービスです。西遊記で孫悟空が乗る「きん斗雲(きんとうん)」にちなんだ名前とのことです。

企業内の情報を管理するソフトウェアとして、とりあえずExcelが手軽であることは間違いありません。プログラミングスキルがなくても、縦横の表形式でデータを管理する器を手軽に作成できます。少しスキルがあれば、マクロを使った複雑な動作も実現可能です。

しかし、個人レベルまたは少人数より大きなチームや組織での情報管理となると、Excelでは全く力不足です。1つのExcelファイルに同時に複数人で書き込むことができないため、ファイルサーバー等で共有すると競合が発生して、ストレスが溜まります。

また、シートの改変が簡単にできることが裏目に出て、各個人で変更した似て非なるレイアウトのExcelファイルが、果てしなく増殖していくことがありがちです。

さらに、スキルがある担当者が超絶技巧を駆使して作成したExcelシートは、その担当者が異動や退職でいなくなると、誰も手が出せないブラックボックスと化してしまい、集計結果が正しいのかどうかさえわからなくなるリスクがあります。

同じマイクロソフトの製品にデータベースソフトウェアのAccessがありますが、これもスタンドアロンベースのソフトウェアの限界を感じます。

英語ではこの分野のソフトウェアを「Online Access(MS Accessのオンライン版)」と呼ぶようです。これまでのところ、Online Access分野で、クラウドのメリットを最大限に活かすツールは、Salesforceでした。サーバー側の準備を心配する必要なく、その企業独自のアプリケーションをすぐに開発できるソフトウェアとして、Salesforceはよくできていると思います。Salesforceを使って特定ユーザ向けのアプリケーションを開発している日本のSI会社が数多くあります。

私は以前からこの分野に注目していて、これまでに「こんな時、何を使って作るか?」「続:こんな時、何を使って作るか?」「続々:こんな時、何を使って作るか?」「ルーク、フォースを使え」を書きました。その時から1年以上が過ぎていますが、その間、Salesforceの一強状態が続いてきました。

kintoneは、フォーム設計、プロセス管理、更新通知、レポート集計、変更履歴、全文検索等、業務アプリケーションで必要な機能が一通り揃っています。開発作業はブラウザで行い、データはすべてサイボウズのクラウドで管理されます。

私は、サイボウズのkintoneは、Salesforceの一強状況に反撃の狼煙となると考えます。サイボウズはkintoneを米国や中国で展開していくことを視野に入れています。Salesforceと正面から対抗できる、日本発のクラウドサービスになる可能性があります。

日本の市場に限って言えば、kintoneはSalesforceよりエンドユーザに受け入れられやすいと思います。Salesforceの画面が”アメリカン”な素っ気なさとアルファベットしか考えない小さな文字であるのに対して、kintoneはサイボウズ得意のこってり目な日本的デザインで、漢字の使用を考慮した文字サイズになっています。

kintoneの料金は、1ユーザ月額880円、初期費用不要です。サイボウズのクラウド事業戦略発表会のUstreamの動画では、「クラウドの代表格と言われる某S社」と比較して優位であることが説明されていました。

日本発のOnline Accessクラウドサービス「kintone」に大いに期待しています。

Ustream:サイボウズクラウド事業戦略発表会

http://www.ustream.tv/recorded/18365225

Comment(4)