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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

コピーできないもので、自慢できるものに価値がある(3)

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少し前になりますが、以前お世話になっていたカードビジネス関連の先生に当たる方からお声がけいただきまして、クレジットカード関連の業界団体の勉強会で講演をいたしました。最近、講演なんかやっていないし、あまり得意ではないので、最初はお断りしてましたが、まぁやってみるかとハラを括ってお受けしました。特訓しましたけどね(笑。
当日は100名ぐらいの方に、「Web2.0によって消費がどう変化するか」をテーマにお話させていただきました。内容はこのブログで書いているようなことが主です。ただ前提の知識をお持ちでない方がほとんどだいうことだったので、かなり前提の方に時間を割きましたが。

以下はそこで使ったスライドにやや手を加えたもの。

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かなり前から、「可処分時間を使う」という軸と「可処分所得を使う」という軸とでマトリクスをつくると、色んな考察が可能なのではないかと考えています。それをやってみたわけです。

この図自体に関しては、あまり説明が要らないと思います。
既存のプレイヤーをこのように並べてみることはできると思います。あくまで考察のための方便としてですが(何も批判していないし、何もほめていません。単に考察用のツールとしてこれを掲出しているだけです)。

オポチュニティということで見ると、右上の象限に目が行きます。リアルな生活でより多くのお金を支出し、かつネットではより少ない時間を消費する顧客層に対して、インターネット上でサービス等を提供している企業はほとんどないに等しい状況があります。
例外的に、富裕層向けの情報提供および購買斡旋を行うサイトや富裕層向けSNSを提供するサイトはありますが、企業A、企業B、企業Cの業容に比較すると、まだ始まったばかりという状況だと思います。

日本の電子商取引全体(BtoC)という文脈で見ると、すべての個人の消費のうち、電子商取引化されているものは2.03%(金額では3兆4,560億円)。米国では4.37%(金額では15兆9,320億円)になっています(資料:経済産業省)。この2%ちょいの差。これに、このマトリクスの右上の象限が手付かずだということが大いに関係しているのではないか?

逆に言えば、ここが大いに開拓されることによって、日本も電子商取引化率が今よりも2%程度高まって、あと3兆円程度の規模拡大がなされるということは、あるのではないか?
そんな風に考えると、非常にわくわくしてきます。

細かく考えると、米国と日本とでは通信販売の歴史に差があり、オンラインでお金を支出するということもまだまだ一般化したとは言えません。そこのてこ入れも必要になるのですが、それを斟酌しても右上のゾーンが未開拓だというインパクトは大きいです。

さて、表題の「コピーできないもので、自慢できるものに価値がある」は、前2回の投稿によらずとも、ほとんど自明の理と言っていいと思います。
「自慢できるものに価値がある」について補足すると、現在では、消費者向けの企業活動と消費者自身の消費活動とが「情報のエコシステム」のなかで行われているようなところがあります。「あそこでああいう情報が出ているから、こう反応しよう→その結果を○○さんに伝えてみよう」みたいなことを、意識的に、あるいは無意識的に、どの消費者も行っているはずです。一昨年に話題になったAISAS、AISCEASもその現象の一端を捉えたものです。
これを一言で言えば、(現在の対消費者情報エコシステム経済のなかでは)「自慢できるものに価値がある」となるわけです。
無論、自慢できないものにも、その人が感じている強さの価値は絶対にあるわけですが、環境全体が情報エコシステム的な色彩が濃いため、その価値は他者と共有しにくかったりします。

ということで、「コピーできないもので、自慢できるものに価値がある」。

これを企業活動の中で生かして、現実的な企業価値に変換していくためには何をすればいいのか?

それを考える時に役立つのが、上のマトリクスだと思います。この未開拓の領域。ここに来るべきサービス、商品、ファシリティ(この領域ではリアルと仮想の区別は不要)、ビジネスモデル等をじっくり考えていくと、未来が開けてくるんでしょうね。

この表題、これで了ということに。

参考リンク:
コピーできないもので、自慢できるものに価値がある(1)
コピーできないもので、自慢できるものに価値がある(2)

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