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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

コピーできないもので、自慢できるものに価値がある(1)

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昨年後半、クライアントの仕事の関係でウェルスマネジメントの周辺をうろうろしたこともあって、富裕層マーケティング本を何冊か買って目を通してみました。

それで把握した富裕層顧客の消費者行動をごく簡単にまとめると、

 1. 世の中に流布している情報はあまり当てにしない。仲間うちの情報を信用する。
 2. 仲間うちの情報に準じるものとして、よく見知った担当者の情報を参考にすることがある(百貨店の外商、金融機関の担当渉外、小売店舗のベテラン接客担当などが口で伝えてくれる情報)。
 3. 情報収集にインターネットをよく使う。
 4. 要求を満たす商品・サービスを提供してくれる企業や店舗は非常に限られているため、気に入ったら高頻度のリピーターになる。
 5. 買ってよかったものは、仲間うちで話題にする(→簡単に言えば、自慢する)。

となります。

じーっと見ていると多数のオポチュニティを含んだ5項目ですね。

1.について少し咀嚼してみると、既存のメディアの多くは富裕層(いくつかの定義がありますが、ここでは保留)視点で編集されておらず、参考にならないということですね。富裕層のこころや価値観がわかって、それでもって記事やコンテンツが編集されるというケースは、おそらく非常に少ない。従って、仲間うちの情報に頼るということになる。
仲間うちの情報とは、弊ブログで何度か論じさせていただいている消費者経験情報、つまり、リスクをとって、自分で経験して把握した情報ということになります。

一般的に富裕層の人たちは、世の中の情報をあまり参考にしないということが言われています。メディアに出る頃にはすでに古くなっているし、その情報を元に行動を起こしたところで、連れて行かれる先は大方予想がつきます。
特に自分の職能によって富を築いた層の場合、自分の前に”情報のけもの道”のようなものが見えていて、そこを通過してきた情報を第一に信用するということがあるようです。非常に特殊なメディアだったり非常に専門的な技量を持った人の口伝えの情報だったり、仲間うちの口コミだったりするわけです。
こういうものを持っているので、職務においても、消費行為においても、世の中の人が気づくよりはるかに早く好機を捉え、適切な資源配分を行って、好ましいリターンや満足をを得ることができます。世の中にある富裕層のイメージとは異なり、現在の富裕層は消費のイノベーターだったりする可能性があります。

投資機会に関する情報についても、まず、こういう人たちのところに集まる。なぜか集まる。投資に関する”情報のけもの道”が彼らのところに集まるのは、自分で意思決定ができる(だから富が構築できた)のと、投入できる資産を持っているからです。情報はそれを活用できる人のところに集まる、というメカニズムはあると思います。

少し長くなりそうなので、何回かに分けます。

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