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Facebook利用率1位の大学から学ぶ、Facebookが使われる条件

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Twitterで流れてきたニュースの中に、こんな調査結果が出ていました。
Facebookの利用率が最も高い大学は、国際基督教大学
Facebook


なぜICUが利用率で1位になったのか?どういう環境だとFacebookは流行るのか?Facebookを使う人の特徴にどういったことが言えるのかを考察しました。メインテーマは
Facebook利用率1位の大学から学ぶ、日本でFacebookが使われる条件
です。

ちなみに佐々木はICU生なのですが、
この結果はまぁ当然だろうなと感覚的に思います。
なぜかと言うと、理由は大きく2つあります。


理由その1:ICUは海外留学経験者の割合が他大に比べてかなり高く、ネットワーク外部性が働くため
ここでちょっとICUの特徴を少し紹介します。
★1学年620名の学生に対し、定員枠130名の交換留学制度。5人に1人の枠があります。
★教員の3割がノンジャパニーズ。英語で論文を書く力を身につける環境です。
★入学式と卒業式は年2回。帰国生や留学生のために入学式は9月、卒業式は6月にも実施しています。
★キャンパス内には、300人の日本人学生と留学生が暮らす学生寮や教員が暮らす住宅、郵便局があります。
Icu


ICUは他大に比べて生徒数が少なく、全体で約3000人しかいません。
なので、校内を歩けば顔見知りに会ったり、名前を知らなくても授業で何度も同じになるといった場合がしばしばあります。
Facebookでそういった顔見知りの人と友達になる、ということも珍しくありません。


さらに生徒だけでなく教授でFacebookアカウントを持っていることもあるので、学生と教授のつながりという意味でアメリカ的と言えるかもしれません(もちろん、アカウントを持っていない教授もいます)


Facebookが広まる流れ
留学をする→外国人はmixiをやっていない→コンタクトとり続けるために、Facebookに登録する→登録してみると、ICUの友達がたくさんいる→外国人、日本人の友達がどんどん友達増える→皆やっているので、留学したことのないICU生もFacebookを始める


このサイクルがICUには自然に出来ているんですよね。
おそらく他大だとmixiがこのサイクルにあてはまるケースがほとんどでしょう。
ネットワーク外部性が働く環境がICUにはナチュラルに存在している、と言えます。


*ネットワーク外部性(network externally):
ネットワークの特性を持つ製品・サービスにおいて、利用者数や利用の頻度などがその製品・サービスの利用によって得られる効用や利用価値に影響を与えるという性質のこと。価値の源泉が製品・サービスそのものではなく、需要側――しかも特定の需要者の個別のニーズではなく、需要者全体に依存する構造になっていることを示す言葉。(出展: @IT情報マネジメント用語事典


2 欧米的でオープンかつ自己主張を求められる校風のため、Facebookは馴染みやすいこと

佐々木が他大の友達でFacebookを使っていない人に、なぜFacebookを使わないのかと聞いたら
「顔と名前をインターネットで公開するなんて無理です!」
と言われてしまいました笑


   Facebook?ムリ!!
Facebook


確かに日本人ではまだ実名制SNSを快く思わない人が多数いることは事実のようです。そういった中でもICUはFacebook利用率はかなり高いので、一風変わっていると言えるでしょう。


おそらく、Facebookを使うことに抵抗のない人の特徴は1つだと思っています。
それは、「自分の意見・存在を主張することに抵抗がないこと」です。


ICUは大学1年生の頃からリベラルアーツ教育を受け、英語の授業を通じて自分の意見を述べることの重要性を教えられます。
ディスカッションやプレゼンでも、基本的に顔と名前をさらして皆の前で意見を言わなければなりません。
こういった教育を受けていると、しっかりロジックを持って自分の意見を言うことに抵抗がなくなってくるのです。
ここがICU生と日本の他の大学生の決定的な違いだと言えるでしょう。


ICUにはいわゆる「和を以て貴しと為す」という文化は薄く、「自分は自分、人は人」という考えの人が多数います。
これは聞いたら驚くかもしれませんが、飲み会などでおなじみの”コール”というものがそもそも存在しないサークルが、大学にしては異様に多いです(これは全体数から見た話で、運動部では他大との交流も多いでのコールする機会も多いそうです笑 でもそういった文化が嫌いで入部しない、という学生もいたりします。)
これも個人主義の表れと言えるのでしょう。


話がちょっと脱線しましたが、何が言いたいのかと言うとFacebookを使う人の特徴として
Facebookは実名制で個がハッキリと出るため、自分という存在をある程度主張できる人が多い
ということです。
Facebookを使っているけどあまり目立ちたくないという人は、顔写真を公開しなかったり実名で登録していなかったりしています。そういう人にはmixiのような基本的には匿名なSNSの方が馴染みやすいのかもしれません。


ちなみに現在、日本でのFacebookアクティブユーザーは約385万人だそうです。
Facebookユーザー数が米国で減少も日本では再度増加傾向
日本のFacebookユーザ数、6.5%増の385万人

Fb

微増は続けているものの、まだまだ日本ではmixiの方が数的に圧倒的優位にあります。やはり友達がみんなmixiを使っていればわざわざFacebookを使うメリットはないでしょう。そして、日本人特有の「横並びの文化」も日本でFacebookユーザーが諸外国に比べて低いことと無関係ではないでしょう。

しかし、最近ではソーシャルリクルーティングなど就職活動でFacebookを活用する学生が増えたり、多くのソーシャルサービスがTwitterやFacebookのアカウントを使ってログインすることも多くなったりしているので必ずしも海外経験がないから使わない、実名が怖いから絶対に無理、ということではなくなってきているのかもしれません。(そもそもFacebookやTwitterを使っていないとソーシャルサービスなんて使わないだろう、という見方もできますけれど笑)

今後日本全体でFacebookが流行っていくためのクリティカルマスはまだ超えていないのでしょう。
(クリティカルマス:ある一定数を越えると指数関数的に数が増えていく値のこと)
やはりどうしても日本人はアメリカなど欧米人に比べて人間関係をオープンにすることを恐れる傾向にあるので、
実名制のハードルは今でもやや高いもののような気がします。


果たして日本人にはFacebookは受け入れられないのか、それともFacebookは日本人の考えをも変えてしまうのか。
今の若い世代からネット世界の常識がどう変化していくのか。
非常に今後の動向が楽しみですね!

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