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【ニールセン調査】アジアのソーシャルメディアが熱い。中国,韓国,インドの最新トレンドは?

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ニールセンが6月30日に開催したウェビナー「アジアパシフィックにおけるソーシャルメディアのトレンド」(サマリー資料 PDFダウンロード)から,続き記事を。今回は中国,韓国,インドのソーシャルメディア最新トレンドを紹介したい。

【前記事はこちら】
日本の最新ソーシャルメディア・トレンド - ブログとツイッター普及は世界トップ,Facebookも3%超 (7/2) 
 

 
■ 中国のソーシャルメディア・トレンド

中国ではソーシャルメディア規制が厳しく,FacebookやTwitterは利用できない。そのため完全にガラパゴス化しながら成長しているのが特徴だ。その独自発展しているソーシャルメディアの全体像を俯瞰できるのが次の図だ。
 

China1

この中でワールドワイドのサービスはわずかにeBayやSkype程度。残りはほぼ中国企業による中国語のサービスとなっている。独自発展をとげている中国のソーシャルメディア・トレンドをニールセンは次のようにまとめている。

  • 地元中国のサービス・プロバイダーが市場を独占
  • 市場自体がまだ収益を最大化するにいたっていない
  • 最も人気のあるのはBBS。ソーシャルメディア・コンテンツの80%以上がBBSに掲載されている
  • ソーシャルメディア初心者の誘導に効果的なのは「ゲーム」,一方経験者に対して有効なのは「コメント(投稿・閲読)」
  • 中国のネット上で人気のトピックスは、ソーシャルメディア・タレントの追っかけ
  • 商品・サービスのレビューに関して、悪い(ネガティブ)情報を共有する傾向が強い

China2

 
他方,企業がソーシャルメディアをたくみに活用し,効果的なブランディングを実現している事例もあらわれはじめているようだ。「ソーシャルメディア上での商品リサーチ」,「ソーシャルゲーム内広告」,「ソーシャルコマース」,「仮想通貨によるプロモーション」などがすでにはじまっていることを次のチャートが示している。

China3

 
そして最も大きな特徴のひとつが「ソーシャルメディア・タレント」の存在だ。下チャートでは黄色がソーシャルメディア・タレント,水色が実在のタレント(チャン・ツィイー,ヤオ・ミン)をあらわしているが,ソーシャルメディア・タレントが実在タレントの人気を凌いでいることが見て取れる。

China4


(お願い) どなたか中国のソーシャルメディア・タレント事情にお詳しい方,このへんの事情をコメントないしツイッターでご教示いただけると幸いです。記事内への追記でご紹介させていただきます。

 
 
■ 韓国のソーシャルメディア・トレンド

続いてお隣,韓国のソーシャルメディア・トレンドだ。韓国はコミュニティ先進国で,次表「会員コミュニティのリーチ率」において世界でも類を見ない96.3%という浸透度になっている。

World2

個別に見ると,バズ総量の74.3%を占めているトップ5コミュニティは、全て主要ポータルとなっているようだ。また韓国は,その他アジアパシフィック諸国に比べ一人あたりのディスカッション量が非常に多いのが特徴で,これもコミュニティやその活用における成熟度をあらわしたものだろう。

Korea1

 
ただしやはり中国や日本と同様,言語の問題もあり,独自進化型になっているようだ。ニールセン分析による韓国ソーシャルメディア・トレンドは次の通りだ。

  • 影響力の強いポータル・コミュニティ
    - ソーシャルメディア・コンテンツは主要ポータルの成長戦略として位置づけられている
    - ダウム運営のフォーラム「アゴラ」は社会・政治問題の第一人者
  • テクノロジー・ベースのコミュニティは、ポータル・コミュニティに次ぐ存在
    - SLRClub –デジカメ、Clien –携帯レビュー、DCInside –デジカメ専用レビューサイトとして発足したが、現在はその他トピックスを含む主要ハブとして機能(例:タレントのゴシップやバイラル・ユーモア等)
    - 上記3サイトには、100万件以上のコメントが投稿される
  • ソーシャルメディアやマイクロブログ・サービスが拡大
    - Twitterが爆発的に拡大(2009年5月から2010年5月の成長率1900%)。当初はタレント目当てのユーザーを獲得,2010年6月の選挙がユーザー増加を加速
    - Twitterやその他SNSの拡大の裏には、スマートフォンの利用増化がある

 
中でもコンテンツ発信型検索ポータルNaverの強さは群を抜いているようだ。Naverに関するニールセンのコメントは以下の通りだ。

  • 韓国のネットユーザーの95%が、毎月Naverを訪問
  • Naver単体で、韓国の総CGMの50%以上を生み出している
  • Naverカフェ数は600万超
    - 中には150万人のメンバー規模を誇るカフェも存在
    - 大規模メンバー数を抱えるカフェは、1日2万件以上のコメントが投稿
    - 消費者と企業両方にとって、非常に重要なコミュニティ
  • KnowledgeInはNaverのQ&Aサービス
    - 日々6万件以上のQ&Aが発生
    - 消費者の意見やお薦めを計測するために頻繁に利用されている

ワールドワイドなサービスの中で,唯一大きな存在感となりつつあるのがTwitterだ。日本と同様,この1年間で1900%という驚異的な伸び率を示し,増加の一途をたどっている。次の図は韓国独自のマイクロブログ,Me2Dayとの月次ユニーク訪問者数の比較だが,ここでもTwitterの成長力は一目瞭然だ。

Korea2

 
 
■ インドのソーシャルメディア・トレンド

ニールセンがまとめたインドのソーシャルメディア・トレンドは次の通りだ。

  • FacebookはOrkutから市場シェアを奪取する勢い
    - ソーシャルメディア人口の70%がOrkut を挙げたものの、50%が現在はFacebookを最も利用していると回答(対してOrkutを最も利用しているのは38%)
    - サイトを切り替える利用として最も一般的なのは、「友人が切り替えたから」、「サイトの見た目や雰囲気」、「サービスの種類が豊富」
  • ネット上の商品レビューの購入に対する影響力の高まり(特に家電製品*)
    - ネット上の商品レビューを閲覧するインドの消費者の55%は、フィードバックを参考に商品を購入している
    - レビューに基づいて購入されている商品の代表格は、耐久消費財や家電製品(購入の64%に相当)

FacebookがOrkutを逆転しつつあるたことは世界のソーシャルメディア・トレンドを象徴している出来事と言えよう。

【参考記事】
世界のSNSマップ最新版。Facebookが131ヵ国中111ヶ国でトップ (6/15) 

またFacebookとは別にインドには多くのフォーラムが存在しており,映画やエンターテインメントを中心に活発な意見交換がされているようだ。

India2

 
そして,もう一つの雄,Twitterも携帯SMSをベースとした対話プラットフォームとして急速に普及しつつある。

  • インドのTwitter ユーザー人口の57%は,昨年サイトの利用を開始したばかり
  • インドのソーシャルメディア・ユーザー人口の32%は,1日最低1回Twitter等のマイクロブログサイトにアクセスしている
  • インドの通信オペレーターAirtelとTwitterの提携により,SMS/テキスト形式でのツイートが可能になるため、Twitterの人気がさらに加速すると予測される
  • タレントのTwitter アカウントは頻繁に主要メディアに取り上げられており,新たな記者会見方式として定着しつつある

今世紀中には人口で中国を抜く可能性が高いといわれるインドだが,インフラストラクチャーや言語が世界と共通である強みは,中国にとって将来的に大きな驚異になるかもしれない。  
 
  

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