一方的にKPI管理を進めると、現場は考えなくなる
KPIは「キーパフォーマンスインディケーター」の略で、「重要業績評価指標」とも呼ばれます。モノゴトがうまく進んでいるかどうかを把握する目安です。
たとえば「一週間の顧客訪問回数」で営業活動の活発さを把握するのはその一例。KPIを設定しておくと、客観的に良さ・悪さを把握できます。
KPIを設定して進捗を管理することは大切ですが、怖い面もあります。現場が考えなくなり、数字作りに走ってしまうのです。
たとえば今期の売上目標達成のために、ある時期までに必要な案件数がKPIとして設定されたとします。その時期になったら、その案件数が達成されているかをチェックするわけですね。
本来は実際のセールス活動に基づいて案件数がチェックされるべきです。
しかし現場が「こんな管理は煩わしいので、適当にデータを入れておいて、報告しておこう」と考えて、成約の見込みがない案件も入れてしまうとどうでしょうか?
このKPI管理自体が意味がないものになってしまいます。そして多くの場合、最後は売上目標が達成できずに終わります。
数字はある程度は恣意的に作ることができるのです。KPI管理を煩わしいと考えて現場が数字作りに走ってしまうと、その弊害は計り知れません。
現場が理解しないまま数字を与えて、「これを達成するかどうかで仕事を評価します」としてしまうと、KPI管理が破綻してしまいかねないのです。
KPIは万能ではありません。あくまで指標です。仕事を進捗管理するためには、自分自身でKPIの意味を理解し、自分で良さ・悪さを客観的に把握すること、さらにチームで問題を議論し、評価指標を合意して数値目標を設定することに意味があります。
だからこそKPI管理をする場合は、一方的にKPIを与えるのではなく現場の方々と一緒に進捗管理の必要性を考えて、現場の現実に合ったKPI管理を設定することが望ましいのです。